NASAとアルテミス計画の支援に関する協定を締結
Digital PR Platform / 2024年3月1日 15時37分
月用に改良されるカメラについて
月の環境は過酷な真空状態であり、カメラを使用するには技術的・工学的な課題が多くあります。例えば、月面は温度が大きく変化するほか、宇宙放射線が絶えず降り注ぐことでカメラのすべての電気系統がダメージを受ける可能性があります。ニコンはNASAと密接に連携し、膨大な宇宙放射線に耐えられるよう、カメラ内のさまざまな回路と制御シーケンスを再設計するなど、過酷な環境下で使用する際の信頼性を最大限に高めるソリューションを開発しています。また、地球から約383,000キロメートル離れた月でもカメラが動作可能な状態を維持できるよう、さまざまなテストやシミュレーションを実施し、熱真空試験のサポートも行います。
(「無重力空間」を「真空状態」に、「月面温度は-120℃から75℃まで大きく変化する」を「月面は温度が大きく変化する」に訂正しました。2024年3月5日訂正)
さらに、月面歩行中や宇宙空間にいる時など、船外活動でもカメラを使用する必要があるため、乗組員が宇宙服の分厚い手袋を着用していてもカメラを快適かつ簡単に操作できるように、NASAはシャッターレリーズ、画像再生、静止画と動画のモード切り替えなどの操作性を備えた「Z 9」用のカスタムグリップを開発しています。このグリップは10ピンターミナル用ケーブルで「Z 9」と接続し、専用のカスタムファームウェアを用いて使用されます。また、船外活動中にカメラボディーやレンズ、ハウジングを保護するため、現在、国際宇宙ステーション(ISS)で宇宙飛行士が船外活動中に使用しているものと同様の特別な熱保護カバーをNASAが製作しています。「Z 9」に加えてNIKKOR Z レンズもミッションに使用されるため、使用される予定のレンズも月の過酷な環境に耐えられるように改良が加えられます。
ISSの乗組員が使用するカメラと同様に、ファームウェアも特別にカスタマイズされます。これには再設計された電気回路への対応や、乗組員や機材が常に浴びる宇宙放射線を考慮した、ノイズリダクションの適用範囲を高速シャッターにも拡張する対応などが含まれます。さらに、保護カバーに包まれた状態での使用の最適化を図り、ファイル名の付与ルールや初期設定、操作性にかかわる変更を行っています。また、宇宙飛行士のワークフローを簡素化し、宇宙から地球に画像を送信する際の効率を高めるとともに消費電力を削減するため、カメラ内のFTP通信制御にも変更を加えています。そのほかにも、シャッターシールドの最適化やHDR機能の強化、メニュー項目の初期設定の変更などが含まれます。
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