1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

【東京医科大学】前立腺がんの篩状腺管構造と再発との関連 ~前立腺がんの悪性度分類の改訂の際に重要な知見を報告~

Digital PR Platform / 2024年3月15日 20時5分

【研究の背景】
 前立腺がんの組織学的悪性度の指標には グリーソン分類が古くから用いられてきました。グリーソン分類は前立腺がんの腺の構造と浸潤増殖様式により1から5の5つのパターンに分類されます。1は正常な腺構造に近い形態を示し悪性度が低く、5がもっとも悪性度が高いパターンです。悪性度の高いパターン4には、①癒合腺管、②篩状腺管、③不明瞭な管腔形成、④糸球体様構造の4型がありますが、篩状腺管構造はこのなかで予後不良と言われています。
 しかし、前立腺がんは1つのみのパターンだけではなく複数のパターンが含まれることが少なくありません。グリーソンスコアは最も多いパターンと2番目に多いパターンを合計し悪性度の指標としたもので、2~10の9段階に分けられます。例えば最も多いパターンが3で、2番目が4であれば、3+4=7となります。
 このグリーソン分類は、定期的に行われる国際泌尿器病理学会により改訂されています。最もみられることが多いスコアは7ですが、3+4=7と4+3=7では後者の方が予後不良であるため最近の改訂ではスコアをつける際にはパターン4の割合を記載することが推奨されるようになりました。篩状腺管構造はパターン4に含まれる構造のうちもっとも予後不良と言われています。このため篩状腺管構造の含まれる割合により予後が異なる可能性があるものの、これまでパターン4のみのがん組織だけを用いた予後との関連に関する研究が行われていませんでした。
 そこで今回の研究では手術検体でグリーソンスコア4+4と診断された108名についてデジタル病理解析で篩状腺管構造の占める割合と生化学的再発との関連を解析しました。

【本研究で得られた結果・知見】
 今回の研究により、グリーソンパターン4における篩状腺管構造の占める割合が前立腺全摘患者の術後の生化学的再発と関連していることが明らかとなりました。

【今後の研究展開および波及効果】
 今後はグリーソンスコア7(3+4と4+3)の前立腺がん症例を用いて篩状腺管構造と予後との関連を明らかにしていきたいと考えています。また今回の研究で示されたグリーソンパターン4における篩状腺管構造の占める割合が予後と関連するという新たな知見は、今後のグリーソン分類の改訂の際にも重要なエビデンスとなると考えています。

【掲載誌名・DOI】
掲載誌名:Cancer Medicine
DOI:10.1002/cam4.7086

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください