1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

国内の重症下肢虚血患者における院内死亡の大半は患肢以外の要因による

Digital PR Platform / 2024年5月1日 10時0分





研究内容
 DPCデータベースを利用して2018年4月から2020年3月までの2年間に国内急性期病院へ入院し、いずれかの侵襲的治療(血管内治療、下肢動脈バイパス手術、あるいは下肢切断術のいずれか1つ以上)を受けた重症下肢虚血患者について、院内死亡の発生頻度とその死因について解析しました。また下肢切断術を受けた患者において、下肢切断術と同一入院中に行われた合併治療(血管内治療・下肢動脈バイパス術)及び下肢切断部位についても解析を行いました。対象期間内にのべ68,176例の下肢閉塞性動脈疾患患者が同定され(図2)、その内のべ18,970例が重症下肢虚血患者であり、さらに、重症下肢虚血患者の28.4%(5,378例)に対して下肢切断手術が実施されていました(図2・3)。





[画像2]https://digitalpr.jp/simg/1706/87490/500_271_20240426133633662b2f5154a0d.jpg
図2. 急性期病院へ入院した下肢動脈疾患患者全体における重症下肢虚血患者数と下肢切断を受けた患者数



 下肢切断術の内、同一入院中に血管内治療や下肢動脈バイパス術が行われない一次切断(62.9%)が最多で、ついで同一入院中に血管内治療が行われるもの(30.3%)が続きます。切断部位については膝上(46.2%)、膝下(34.8%)、足関節以遠(19.0%)の順でした。(図3)
 重症下肢虚血患者全体で6.5%に院内死亡の発生を認めました。入院中に下肢切断を受けた患者はそうでない患者と比較し、高い院内死亡の発生が確認されました(12.5% vs. 4.2%, P<0.001)。そして、その死因の65.5%は患肢以外の要因によるものであることが示唆されました。(図1)



[画像3]https://digitalpr.jp/simg/1706/87490/500_213_20240426133643662b2f5b86dfa.jpg
図3. 重症下肢虚血患者における下肢切断の割合(A), 下肢切断の入院中に行われた合併治療(B),
下肢切断部位(C)







今後の展開
 本研究では、これまで診療科を超えて包括的な評価が困難であった重症下肢虚血患者について、急性期病院への入院患者数、入院中に実施された治療、院内死亡の発生頻度、そしてその死因を国内全体データとして初めて提示しました。本研究では死因の詳細までは特定できていないものの、重症下肢虚血患者の多くが患肢以外の原因(心血管疾患、脳血管疾患や患肢以外の部位の感染などの可能性が挙げられます[4])で死亡している現状を考慮すると、重症下肢虚血患者の管理においては患肢局所の改善に留まらず、多領域・多職種が連携した全身管理の重要性が強調されます。また、重症下肢虚血は一度発症すると、現代医療では根治させることが困難であるため、禁煙や食習慣の見直し、適度な運動習慣により動脈硬化を引き起こす生活習慣病の管理を強化し、疾病の一次予防を目指すことの重要性が再確認されました。
 なお、本研究は重症下肢虚血の医療現場最前線で課題意識を持つ循環器内科医師(岩田)が、横浜市立大学大学院データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻課程でデータサイエンス的手法を学んだ後、同学附属病院次世代臨床研究センター(Y-NEXT)での勤務を通じて臨床研究に対する造詣を深めた循環器内科医師(仁田)らと協力し、医療系ビッグデータへアプローチし、データ駆動型臨床研究により医療現場の疑問解決に貢献した画期的な研究成果です。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください