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身体運動と発声認知課題を統合した二重課題(デュアルタスク)訓練は、「身体機能」と「認知機能」の双方を改善する

Digital PR Platform / 2024年5月22日 11時32分

【対象・方法】
<対象>
2023年4月から2023年10月にかけて、日本国内の7つの異なる病院で外来患者を登録しました。参加対象者は「日常生活動作がほぼ自立している65歳以上の患者」で、116名を対象としました。

<方法・評価>
患者をロボット支援療法群(スクリーンに表示された質問を音読し、熟考してから声を出し解答しながらクロスステップ運動をおこなう)と従来型療法群(クロスステップ運動のみ)に分け、層別解析のために30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30)と日本語版Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)の重症度に応じて、患者を2群(すなわち中等度群と重症群)に分けました。CS-30スコアは筋力と身体能力の評価に有用であり、サルコペニアとも相関すると言われています。サルコペニア(CS-30スコアが男性17点未満、女性15点未満)と軽度認知障害(MoCA-Jスコア26点未満)を認める重症群とサルコペニアならびに軽度認知障害を認めない中等度群とに分けました。クロスステップ機器は、OG Wellness (岡山)から提供されました。ヘッドホン付きのマイクを使って、音声指示によって液晶画面に出された問題を声を出し読み、声を出し解答する訓練を行いました。
提示された問題は、ガウディア(株式会社ガウディア、神奈川県)と日能研関東(株式会社 日能研関東、神奈川県)から提供されたものを使用しました。

(図) 自立した生活を送る高齢者の身体機能と認知機能に対するロボット支援療法と従来型支援療法の効果の違いを検討するためにデザインされた本研究の概念図とプロトコール
 
機能訓練はそれぞれ40分週2回行われ、そのうち20分をクロスステップ訓練を用いたロボット支援療法群と従来型療法群に分けました。CS-30とMoCA-Jについて、初回、2週後、4週後に評価をしました。

【結果】
ロボット支援療法群のCS-30スコアは訓練前にくらべ経時的に有意に改善を示し、重症群で著明であり、下肢機能に有意な変化を認めました。従来型療法群では下肢機能に有意な変化は見られませんでした。MoCA-Jで評価した認知機能もロボット支援療法群は重度群も中等度群も有意に改善を示していました。しかし従来型療法群の変化は統計的に優位ではありませんでした。
 
【今後の展開】
本研究では、日常生活である程度自立している地域在住の高齢者に対して、従来の訓練はもちろんのこと、認知課題を発声して読み、答える訓練を組み合わせた、個別化デュアルタスク訓練が可能であることを示し、認知機能の測定可能な改善につながりました。日本の高齢者介護や医療制度を考慮すると、訓練時間や頻度の点で訓練の範囲が限られているので、訓練量は言うまでもありませんが、訓練の質が重要になってきます。
アプローチから得られた結果は、高齢者に広く適用できる可能性があります。今後、認知症や身体障害の重症度によって個別化した層別化したデュアルタスク訓練の効果を最適化するために、これらのパラメータを変化させた場合の影響を調査する予定です。
さらに観察された効果の持続性を評価し、高齢者の機能的、自立度の低下を予防していきたいと考えています。また、これらの訓練の有効性を評価するために、長期追跡研究を行う予定です。そして、この研究は、高齢者のニーズに合わせたデュアルタスク、訓練プログラムの改良に大きく役立ち、最終的に高齢者の健康と寿命を改善することになるように努力していきたい。

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