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【東芝デバイス&ストレージ】信頼性と短絡耐久性を維持したSBD内蔵SiC MOSFETのオン抵抗低減に成功

Digital PR Platform / 2024年6月3日 18時3分

【東芝デバイス&ストレージ】信頼性と短絡耐久性を維持したSBD内蔵SiC MOSFETのオン抵抗低減に成功

深さの異なるバリア構造の採用が消費電力低減に貢献

2024-6-3
東芝デバイス&ストレージ株式会社



信頼性と短絡耐久性を維持したSBD内蔵SiC MOSFETのオン抵抗低減に成功
-深さの異なるバリア構造の採用が消費電力低減に貢献-


 当社は、これまでのSBD注1内蔵SiC(炭化ケイ素)MOSFET注2を改良し、高い信頼性と短絡耐久性を維持したSiC MOSFETを開発しました。深さの異なるバリア構造注3を適切に配置したデバイス構造により(図1)、内蔵SBDの働きによる逆導通動作注4に対する信頼性を保ったまま、短絡動作注5時の破壊原因となるSBD部の電流成分を抑制しています。今回得られた設計技術を活用してデバイス構造を最適化することで、従来構造注6と比較してオン抵抗注7(RonA) を約26%低減することに成功し、消費電力の低減に貢献します。
 電力を供給、制御する役目を果たすパワー半導体は、あらゆる電気機器の省エネルギー化やカーボンニュートラルの実現に不可欠な半導体であり、自動車の電動化や産業機器の小型化などを背景に、今後も継続的な需要拡大が見込まれています。SiC MOSFETは従来のSi(シリコン)MOSFETよりも電力エネルギー変換効率を向上する次世代パワー半導体として注目され、近年急速に利用が拡がっています。しかし、SiC MOSFETには逆導通動作によって素子のオン抵抗が増加する信頼性の課題があるため、当社は、オン抵抗の増加を起こさずに逆導通動作が可能なSBD内蔵SiC MOSFETを開発しています。

 SiC MOSFETのオン抵抗を低減することは、同時に短絡動作時にMOSFET部に過剰に流れる電流が増加するため、短絡動作の耐久性が低下します。また、逆導通動作の信頼性向上のために内蔵SBDを動作しやすくすることも、短絡動作時にSBD部の漏れ電流が増加し、短絡動作の耐久性の低下につながります。バリア構造を深く形成することで、短絡動作中のMOSFET部の過剰な電流とSBD部の漏れ電流の抑制がいずれも可能ですが、深いバリア構造はSBDからの電流の流れを妨げてしまい、ダイオード通電の信頼性が低下する懸念がありました。

 そこで当社は、浅い領域と深い領域に作り分けたバリア構造の導入を検討しました。深いバリア領域による短絡動作時のMOSFET部からの過剰電流の抑制とSBD部の漏れ電流の低減の効果を発揮しながら、浅いバリア領域を残すことでバリア部に妨げられずにSBDからの電流が拡がる効果を両立しました。これらにより、逆導通動作に対する優れた信頼性を保ちながら、短絡動作時の耐久性を向上することが可能になりました。当社は、本技術を適用したSBD内蔵SiC MOSFETのテストサンプルを2023年12月より一部顧客に提供し評価していただき、さらなる性能改善を目指しています。

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