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【中部大学】世界初、難しかった3個以上の染色体断片を結合させることに動物実験で成功--壊れた遺伝子を修復する技術の開発を目指す--

Digital PR Platform / 2024年6月10日 14時5分

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中部大学(愛知県春日井市) 実験動物教育研究センターの岩田悟講師と長原美樹教育技術員、同大学大学院生命健康科学研究科 生命医科学専攻の井戸理紗子大学院生、岩本隆司教授は、染色体を構成するDNA の修復をつかさどるRecql5 遺伝子の変異マウスを用いて、3つ以上の染色体断片の再編成を効率的に誘発する方法を確立しました。

◆研究成果のポイント◆
・DNA を修復する遺伝子に着目し、マウス受精卵の複雑な遺伝子操作に初めて成功
・染色体断片化後再合成と呼ばれる新しいゲノム現象を検出
・複雑なゲノム構造を持つ疾患モデル動物の作製や治療法開発に期待




【発表概要】
人間の細胞には、遺伝情報が23対、合計46本の染色体という構造体に織り込まれていますが、細胞が分裂する際、遺伝的な要因や強い放射線の被曝などによって、本来とは異なる配列の染色体が生み出されるエラーが生じることがあります。間違った染色体再編成(注1)(Complex chromosomal rearrangements:CCRs)は、がんや先天性疾患の原因となります。
このエラーメカニズムを解明して問題を解決するため、複数の染色体断片をつなぐ研究が世界各地で行われています。しかしこれまでは2つの断片からの再編成しか成功していません。実際の体内では数十の染色体断片の結合が起こっており、少なくとも3つ以上を結合させる方法が求められていました。

中部大学 実験動物教育研究センターの岩田悟講師と長原美樹教育技術員、同大学大学院 生命健康科学研究科 生命医科学専攻の井戸理紗子大学院生、岩本隆司教授は、染色体を構成するDNAの修復をつかさどるRecql5遺伝子の変異マウスを用いて、3つ以上の染色体断片の再編成を効率的に誘発する方法を確立しました (図1)。

本研究では、Recql5変異を利用することで、ゲノム編集技術CRISPR/Cas9 (注2) を介したCCRsの誘導が可能となり、3つから6つの染色体断片とメガベースサイズ (100万塩基対)単位の逆位を含むマウスを作り出しました。さらに、染色体断片化後再合成 (注3) と呼ばれる新しいタイプのゲノム現象を次世代シーケンサー (注4) で検出し (図2)、その遺伝的メカニズムを解明する手がかりを見出しました。染色体断片化後再合成は、一度に多くの染色体断片が再編成されるというCCRsの特殊な形態です。

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