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妊婦の⾎中重⾦属濃度と⽣まれた⼦どもの川崎病発症との関連について

Digital PR Platform / 2024年6月28日 14時0分

3.研究内容と成果
 血中重金属濃度や川崎病発症のデータがある 85,378 組の母子を抽出し、5種類の重金属(水銀・カドミウム・鉛・マンガン・セレン)の濃度によって、川崎病の発症リスク(オッズ比)が上昇するかをロジスティック回帰分析※1で検証しました。川崎病は1歳時点の発症を主解析とし、副次的に感度解析として2歳・3歳の各時点までの発症も合わせて検証しました。結果、5種類それぞれの⾎中重金属濃度と、1歳・2歳・3歳までのいずれの時点での川崎病発症との間に関連性は認めませんでした。
 なお、今回の研究では妊婦の⾎中重⾦属濃度に着目しており、子ども自身の⾎中重金属濃度でないことに留意が必要です。この点については、今後の研究が待たれます。

4.今後の展開
 今回の調査では、妊婦の血中重金属濃度とその子どもの川崎病発症を検証しています。妊婦の母体血中重金属は、胎盤を通じて子どもに移行して影響を与えるものの、本研究では子ども自身の血中重金属濃度は検証していない、という点には留意が必要です。引き続き、⼦どもの発育や健康に影響を与える化学物質等の環境要因を明らかにしていく点から、本疾患に限らず、子ども自身の測定値を用いた調査が期待されます。

5.用語解説
※1 回帰分析:回帰分析とは「ある結果に、関連する要因がどの程度影響を与えているか」を分析する手法です。例えば、発症の有無のように結果が「あり」「なし」の 2 値で表される場合はロジスティック回帰、検査値のように結果が連続の数値であるものは、単回帰分析もしくは重回帰分析を用います。

6.発表論文
題名:Association between maternal heavy metal exposure and Kawasaki Disease, the Japan Environment and Children’s Study (JECS)

著者名(英語):Takanori Yanai1, Satomi Yoshida1, Masato Takeuchi1, Chihiro Kawakami2, Koji Kawakami1, Shuichi Ito2, and the Japan Environment and Children’s Study Group3

1 矢内 貴憲, 吉田 都美, 竹内 正人, 川上 浩司:京都⼤学⼤学院医学研究科 薬剤疫学分野
2 川上 ちひろ, 伊藤 秀一: 横浜市立大学大学院医学研究科 発生成育小児医療学
3 グループ:エコチル調査運営委員長(研究代表者)、コアセンター長、メディカルサポートセンター代表、各ユニットセンターから構成

掲載誌:Scientific Reports
DOI:https://doi.org/10.1038/s41598-024-60830-z







[画像1]https://digitalpr.jp/simg/1706/90643/350_78_2024010515212665979fe614e09.jpg










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