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「細胞の毛」がホルモン分泌に影響することを証明

Digital PR Platform / 2024年7月31日 10時39分

「細胞の毛」がホルモン分泌に影響することを証明

~下垂体の形成・分化を一次繊毛が制御する世界初の発見~


東京慈恵会医科大学 生化学講座の吉田彩舟講師(現 東邦大学 理学部)と吉田清嗣教授らの研究グループは、細胞に1本だけ存在する細胞小器官「一次繊毛」(注1)がホルモン分泌の要である下垂体(注2)の発生を制御することを世界で初めて証明しました。
本研究成果は、7月26日に「Endocrinology」に掲載されました。
本研究成果は以下の通りです。
・ 一次繊毛に異常のあるマウスは、下垂体のホルモンを作る細胞の数が減少すること、また、ホルモンの分泌に欠かせない血管系に異常が生じることを見出しました。
・ 一次繊毛の異常により、Hedgehogシグナル(注3)の低下を引き起こし、ホルモン産生細胞の分化不全による細胞数の減少につながることを明らかにしました。
・ これまでに考えられてきたシグナル分子と転写因子よりも、細胞小器官である一次繊毛を介した下垂体の発生制御システムが上位に存在することが示されました。

本研究では、一次繊毛の異常を呈するマウスモデルを用いて、一次繊毛の異常が、下垂体のホルモン産生細胞ならびに内分泌に重要な血管系の異常を引き起こすことの証明に成功しました。内分泌の要である下垂体の機能獲得に一次繊毛が関与するという本研究成果は、先天性の下垂体機能低下症のみならず、これまで原因の明らかでなかった特発性下垂体機能低下症の病態理解や治療法の開発につながることが期待されます。

論文情報

雑誌名:Endocrinology
論文タイトル:Primary Cilia are Required for Cell-Type Determination and Angiogenesis in Pituitary Development
Doi: 10.1210/endocr/bqae085
著者:Saishu Yoshida (吉田彩舟)1,2*, Yousuke Tsuneoka (恒岡洋右)3, Takehiro Tsukada (塚田岳大)2, Takashi Nakakura (中倉敬)4, Akira Kawamura (河村明良)1, Wataru Kai (甲斐亘)1, and Kiyotsugu Yoshida (吉田清嗣)1,*
*責任著者
1 東京慈恵会医科大学 生化学講座
2 東邦大学 理学部 生物分子科学科
3 東邦大学 医学部 解剖学講座微細形態学部門
4 帝京大学 医学部 解剖学講座
 
本研究の一部は、文部科学省科学研究補助金(基盤研究B、基盤研究C、挑戦的研究[萌芽])、武田科学振興財団、上原記念生命科学財団、山口内分泌疾患研究振興財団、東京慈恵会医科大学などの助成を受けて行われました。

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