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「細胞の毛」がホルモン分泌に影響することを証明

Digital PR Platform / 2024年7月31日 10時39分

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【本研究内容についてのお問い合わせ先】
東邦大学理学部生物分子科学科・講師・吉田彩舟 
電話 047-472-1158 メールsaishu.yoshida@sci.toho-u.ac.jp

【報道機関からのお問い合わせ窓口】
学校法人慈恵大学 経営企画部 広報課 
電話 03-5400-1280 メール koho@jikei.ac.jp

学校法人東邦大学 法人本部経営企画部 
電話 03-5763-6583 メール press@toho-u.ac.jp

【用語説明】
(注1) 一次繊毛
長さが数マイクロメートルで、ほぼ全ての細胞に1本だけ存在する毛様の細胞小器官(オルガネラ)。多くの受容体が局在し、細胞が外部環境を感知するアンテナとしての機能を担っている。

(注2) 下垂体
脳の直下に位置する内分泌器官。下垂体の前葉は、成長ホルモン(GH)、プロラクチン(PRL)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、性腺刺激ホルモン(FSH/LH)を分泌し、個体の成長、泌乳、代謝、ストレス応答、生殖などを制御する内分泌系の要として機能する。

(注3) Hedgehogシグナル
正常な組織発生に必須で、ショウジョウバエからヒトまで進化的に保存されたシグナル系。哺乳類では、受容体が一次繊毛上に存在し、一次繊毛に強く依存した伝達様式を示す。
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研究の詳細

【背景】
下垂体は成長ホルモンや性腺刺激ホルモンなど多種のホルモンを分泌し、成長や代謝、生殖機能、ストレス応答、乳汁分泌などを制御する内分泌の要です。シグナル分子や転写因子の遺伝子異常は、小児慢性特定疾病ならびに成人の指定難病でもある下垂体機能低下症の原因となります。一方で、近年、細胞小器官である一次繊毛の異常に起因する骨格形成異常(繊毛病)の患者において、下垂体ホルモンの分泌低下を呈する症例が報告されました。しかしながら、細胞小器官である一次繊毛の異常と下垂体の機能異常の関連性は証明されていませんでした。


【研究手法と成果】
そこで、本研究では、一次繊毛の異常を呈するモデルマウスを用いて、一次繊毛が下垂体の形成やホルモン産生細胞の分化に関与することを個体レベル証明することを目指しました。

本研究から得られた主な成果は以下のものです。

・ 著者らが作出した一次繊毛の異常を呈するマウス(リン酸化酵素DYRK2の欠損マウス)では、すべての下垂体前葉ホルモン産生細胞(GH, PRL, TSH, ACTH, LH/FSH産生細胞)に分化異常が生じ、細胞数が低下することを見出しました。
・ さらに、一次繊毛の異常は、ホルモンの分泌に必須な血管系の異常を呈することを明らかにしました。
・ 野生型ならびにDYRK2欠損マウスの下垂体組織を用いた遺伝子発現解析から、一次繊毛の異常は、発生過程の下垂体において、Hedgehogシグナルの低下を引き起こすことを見出しました。
・ 一次繊毛の異常によるHedgehogシグナルの低下は、下垂体ホルモン産生細胞の分化を制御する転写因子(LHX3/LHX4/PROP1)の発現低下を引き起こし、ホルモン産生細胞の分化不全を誘導することを明らかにしました。
・ さらに、細胞外マトリクス(ECM)の発現低下を介し、血管系の構築に必須な血管内皮増殖因子(VEGF)シグナルの低下を引き起こすことを示しました。

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