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【東京医科大学】DICER1症候群の発症機構の解明~DICER1症候群疾患モデルの作製から治療薬の開発へ~

Digital PR Platform / 2024年8月15日 20時5分

【本研究で得られた結果・知見】
 DICER1症候群患者組織では、DICER1遺伝子に遺伝性と体細胞性の2つの変異がある。本研究では、この特徴的な2つの遺伝子変異を肝臓特異的に再現するマウスを作成した。結果、DICER1症候群に含まれる嚢胞性肝腫瘍を発症した。肝嚢胞は、一次繊毛の異常によって発症することが知られているため、胆管上皮に発現する一次繊毛の解析を行ったところ、DICER1症候群モデルマウスの肝臓では、一次繊毛の形成異常と関連遺伝子であるPKD1およびPRKCSHの有意な発現低下が明らかとなった。DICER1症候群に含まれる希少腫瘍には、嚢胞性腫瘍が多く含まれていることから、臓器の枠を超えた嚢胞性腫瘍の発症は、DICER1症候群の特徴の一つである。本研究ではその一端が解明されたが、他の臓器・組織については今後の研究課題である。

【今後の研究展開および波及効果】
 DICER1症候群は、多様な臓器で腫瘍を発症する特徴を有する。本研究で作製されたDICER1症候群モデルマウスは、肝臓以外の臓器における疾患モデルの構築にも応用することが可能であり、今後はDICER1症候群の全容解明および治療薬の開発に発展することが期待される。

【用語解説】
・DICER1:microRNA (miRNA)と呼ばれる、20〜25塩基ほどの短い1本鎖RNAを生成するRNA切断酵素。DICER1遺伝子に変異が入ると、miRNAの発現に異常が発生し、結果的にDICER1症候群を発症すると考えられている。

・DICER1症候群 : DICER1遺伝子変異を原因とする遺伝性の腫瘍素因症候群。主に小児から若年成人にかけて、様々な臓器で良性もしくは悪性の腫瘍を発症しやすくなる。

【掲載誌名・DOI】
掲載誌:The Journal of Pathology (Wiley)  
DOI:10.1002/path.6320

【論文タイトル】
Liver-specific DICER1 syndrome model mice develop cystic liver tumors with defective primary cilia

【著者】
Keiki Oikawa, Shin-ichiro Ohno*, Kana Ono, Kaito Hirao, Ayano Murakami, Yuichirou Harada, Katsuyoshi Kumagai, Katsuko Sudo, Masakatsu Takanashi, Akio Ishikawa, Shouichirou Mineo, Koji Fujita, Tomohiro Umezu, Noriko Watanabe, Yoshiki Murakami, Shinichiro Ogawa, Kris Ann Schultz, and Masahiko Kuroda*      *:責任著者

【分子病理学分野ホームページ】
https://tmumolpathol.sakura.ne.jp

【主な競争的研究資金】
基盤研究B 「DICER1症候群モデルを用いたncRNAによる発がん機構の解明」 (21H02706:代表 黒田雅彦)
基盤研究C 「RNA activationにおける分子機構の解析」(21K0695:代表 大野慎一郎)
基盤研究C 「DICER1症候群モデルマウスの作製」(24K10175:代表 大野慎一郎)


▼本件に関する問い合わせ先
企画部 広報・社会連携推進室
住所:〒160-8402 東京都新宿区新宿6-1-1
TEL:03-3351-6141
メール:d-koho@tokyo-med.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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