1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

伴侶動物との生活と死亡リスク

Digital PR Platform / 2024年8月26日 11時0分

3. 研究結果と考察
4年間の縦断研究※4の結果(図1)から、伴侶動物※1なし群に対する伴侶動物あり群の全死亡発生オッズ比※5は0.74(95%信頼区間0.59-0.93)であり、伴侶動物との生活が死亡のリスクを抑制することが示されました。
伴侶動物の中で、犬飼育群のオッズ比は、伴侶動物なし群に対して0.77(95%信頼区間0.59-0.99)であり、犬飼育者がもつ社会学的要因、身体的要因、心理的要因、社会的要因の影響を考慮しても、犬との生活により死亡のリスクが23%抑制されることが明らかになりました。これは、犬の世話を通じた運動習慣(身体活動量)の維持が、心血管疾患による死亡のリスクを抑制していると考えられます。
一方、猫、鳥、魚との生活では、オッズ比だけを見ると犬と同等、もしくはそれ以下の動物もありましたが、いずれも飼育と死亡のリスクとの間に意味のある関係性(有意差※6)は見られませんでした。その理由としては、これらの伴侶動物との生活による運動習慣への影響が小さいことが考えられます。


[画像1]https://digitalpr.jp/simg/2824/93753/600_224_2024082311160666c7f0e65aafd.jpg

図1

4. 今後の展望
今後の研究では、伴侶動物との生活と健康アウトカムとの間にあるメカニズムを解明したいと考えています。また、これまでの研究成果に基づいた、人と動物が共生できる社会の仕組みづくりにも寄与したいと考えています。

5. 注釈
※1 伴侶動物・・・友達や家族と近い存在の動物。
※2 フレイル・・・加齢により心身が老い衰えた状態。
※3 傾向性スコア・・・因果効果を推定するために用いられるバランス調整の統計手法。
※4 縦断研究・・・追跡調査を行い、同じ参加者から繰り返しデータを収集する研究
※5オッズ比・・・リスクが何倍増えるかを近似的に表す指標。
※6有意差・・・データのばらつきを考慮しても関連していると判断できること。

6.発表論文
【タイトル】
Dog, Cat, Bird, Fish, and Other Pet Ownership and Mortality: Evidence from the HILDA Cohort
【著者】
谷口優、池内朋子、Jongsay Yong
【掲載誌】
PLOS ONE
【URL】https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0305546
【DOI】10.1371/journal.pone.0305546

7.発表者
環境疫学研究室
主任研究員 谷口優

8. 問合せ先
【研究に関する問い合わせ】
国立研究開発法人国立環境研究所
環境リスク・健康領域 環境疫学研究室
主任研究員 谷口優
taniguchi.yu(末尾に”@nies.go.jp”をつけてください)

【報道に関する問い合わせ】
国立研究開発法人国立環境研究所 企画部広報室
kouhou0(末尾に”@nies.go.jp”をつけてください)
029-850-2308

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください