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"種とは何か"の分子基盤の解明へ--利己的DNAによる「異種ゲノム間闘争」 --北里大学

Digital PR Platform / 2024年9月24日 14時5分


■今後の展開
 本研究における考察は、生殖的隔離により種特異的に多様化したトランスポゾン闘争を介した「異種間ゲノム闘争」という概念の提案、さらに「有性生殖における種の分子基盤は生殖的隔離によるトランスポゾンの進化・多様化とその防御システムの共進化にある」という生命進化の根源的な進化仮説の提唱を研究グループに導いた。今後、この概念と仮説の分子的検証を、現存する雑種のヨーロッパトノサマガエル(コガタガエルとワライガエルの異種交配種:体細胞では2種のゲノムをもつが、生殖細胞ではコガタガエルゲノムが排除)で行う予定である。現在、親2種のゲノム解析とそれらのトランスポゾン対応piRNAの解析から、上記の概念と仮説の分子的検証を試みている。

■論文情報
掲載誌:Genome Biology and Evolution
論文名:Correlation between subgenome-biased DNA loss and DNA transposon activation following hybridization in the allotetraploid Xenopus frogs
(異質四倍体ツメガエルの異種交配後のサブゲノム偏向DNA欠失とDNAトランスポゾン活性化との相関)
著 者:Kosuke Suda, Takahiro Suzuki, Shun Hayashi, Honoka Okuyama, Daisuke Tsukamoto,
Takuya Matsuo, Kei Tamura, Michihiko Ito
DOI:10.1093/gbe/evae179

本研究は、大隅基礎科学創成財団の第6期基礎科学研究助成、JSPS科研費 (18K06389)の助成を受けたものです。


■用語解説
※1 トランスポゾン(転移因子)
ゲノム上の位置を転移することのできるDNA断片。断片がゲノムに直接転移するDNA型と、転写(RNA)後に逆転写(DNA)され転移するRNA型(レトロトランスポゾン)が存在する。
※2 利己的DNA
自己DNAの複製あるいは転移などを介してゲノム内に存在あるいは伝播するDNA。ホストの生物に有用な機能をもたない。ほとんどのトランスポゾンやジャンクDNAに相当する。
※3 異種交配
近縁種間での交雑。脊椎動物の祖先の2回目の全ゲノム重複では異種交配を介していると考えられ、種の誕生や体制進化にも関わる。ツメガエル属では、約1800万年前に異種交配が起こり、L種とS種由来のゲノムからなる異質四倍体が形成された【図1】。異種交配由来種は現在、アフリカ各地に10数種生息している。
※4 異種ゲノム間闘争(本研究から創出された造語)
異種のゲノム間の自己・非自己認識により、自身のゲノム残存のために異種ゲノム間で競合する現象を指す。


■問い合わせ先
【研究に関すること】
 北里大学理学部生物科学科
 准教授 伊藤道彦
 e-mail:ito@sci.kitasato-u.ac.jp

【報道に関すること】
 学校法人北里研究所 総務部広報課
 TEL:03-5791-6422
 e-mail:kohoh@kitasato-u.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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