【東京医科大学】大腸がんの予後とゲノム異常を予測する人工知能(AI)の開発 ~新たなAIモデルによる個別化医療を目指して~
Digital PR Platform / 2024年9月24日 20時5分
【研究の背景】
大腸がんは、現在日本で一番罹患率の高いがんであり、2024年には年間の新規症例数は20万人に達する見込みです。また、臨床的には大腸がんの切除後の再発は大きな問題となっています。特にStageⅡ/Ⅲの大腸がんの予後はStage内でもばらつきを認める事から、新たな客観的な予後の指標が必要とされ、この指標に基づく積極的な個別化医療が必要と考えられています。そこで今回我々は新たな人工知能の手法を用いて、大腸がん根治切除の治療方針決定の選択肢となり得る新規AI分類の開発を目指しました。
【本研究で得られた結果・知見】
今回の研究では、ニューラルネットワーク(CNN)とサポートベクターマシン(SVM)を組み合わせた人工知能技術を利用し、病理形態学的情報の抽出・解析に成功しました。また、この人工知能が検出した病変には、特異的な遺伝子の傷(ゲノム変異シグネチャー)を有することが明らかになりました。
【今後の研究展開および波及効果】
病理学的画像のみならず、今まで個別に検討してきた分子診断結果・放射線画像・臨床情報、さらにはゲノム情報を統合化し、より高度な判断を行える診療補助システムの開発を目指します。
【用語の解説】
*1 がんを引き起こす遺伝子変異には特定のパターンがわかっている。そのパターンが変異シグネチャーと呼ばれている。ゲノムの変異のパターンは、喫煙、紫外線、放射線、遺伝的因子などの原因によって分類されているが、原因が不明な変異シグネチャーも多数存在する。
【論文情報】
タイトル:Novel AI Combining CNN and SVM to Predict Colorectal Cancer Prognosis and Mutational Signatures from HE Images.
著 者:Mazaki J, Umezu T, Saito A, Katsumata K, Fujita K, Hashimoto M, Kobayashi M, Udo R, Kasahara K, Kuwabara H, Ishizaki T, Matsubayashi J, Nagao T, Hazama S, Suzuki N, Nagano H, Tanaka T, Tsuchida A, Nagakawa Y*, Kuroda M*.(*:責任著者)
掲載誌名:Modern Pathology
DOI :10.1016/j.modpat.2024.100562.
【主な競争的研究資金】
本研究は、独立行政法人日本学術振興会 科学研究費助成事業、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の支援を受けています。
【分子病理学分野ホームページ】
https://tmumolpathol.sakura.ne.jp
【消化器・小児外科学分野ホームページ】
https://team.tokyo-med.ac.jp/syoukakigeka/index.html
▼本件に関する問い合わせ先
企画部 広報・社会連携推進室
住所:〒160-8402 東京都新宿区新宿6-1-1
TEL:03-3351-6141
メール:d-koho@tokyo-med.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/
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