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【名古屋大学】ウンチをしないオタマジャクシを新発見 ~生息環境を汚さない衛生戦略で生存率を上昇~

Digital PR Platform / 2024年9月25日 20時5分


その結果、アイフィンガーガエル幼生はアマガエル幼生が生存できないアンモニア濃度(50mM塩化アンモニウム)でもほとんど死亡することがありませんでした(図5青色)。アイフィンガーガエル幼生も高濃度のアンモニアでは死亡していることから(濃青色)、アイフィンガーガエル幼生は他種カエルに比べて環境中のアンモニアに高い耐性を持ちながらも、高濃度のアンモニアにさらされると死亡してしまいます。これを避ける上で排便を行わないという行動は有利に働くと考えられます。


【成果の意義】
本研究の結果から、木の洞や竹の切り株などの閉ざされた水場で成長するアイフィンガーガエルの幼生は、他種に比べて、環境中に排出するアンモニアの量が少なく、腸内には逆に高濃度のアンモニアを保持していることが分かりました(図3、4)。さらに、アイフィンガーガエル幼生はニホンアマガエル幼生に比べてアンモニアに対する耐性が高いことが示されました(図5)。
これらのことから、アイフィンガーガエル幼生は排便を減少させ、さらに、環境中のアンモニアに対しても高い耐性を持つ、という2種類の戦略でもって小さな水場に適応していることが示されました。

アイフィンガーガエルは亜成体(カエルの姿)になった直後に、はじめて排便します。これは、小さな水場にエサとして持ち込まれた窒素が水場に排出されることなく、最終的に外に運ばれることを示しています。このような衛生戦略は、いくつかのハチやアリの幼虫が変態するまで腸内に糞便を保持し、狭い巣を清潔に保つといった行動と類似しています。閉鎖的で小さな環境で、同種の個体、特に兄弟姉妹と一緒に成長することは、ユニークな衛生戦略の進化を促進するものと示唆されます。


【用語説明】
注1)窒素化合物の排出方法:
動物の窒素排出の方法は、その生息環境に応じて異なり、一般的に、水棲の硬骨魚類や両生類の幼生は、窒素化合物をアンモニアに代謝し、それを便とともに排出する。水棲動物は大量の水に囲まれて生活するため、排出されたアンモニアは迅速に希釈され、有毒なアンモニアにさらされることはない。一方、陸生の両生類の成体や哺乳類は、窒素化合物を無毒な尿素に代謝し、それを排出する。これは、陸上では周囲の利用可能な水の量が少ないため、希釈によってアンモニアを無害化することができないためである。同様に、硬い卵殻で胚が発生する爬虫類や鳥類は、窒素化合物を水に溶けにくく、毒性の低い尿酸として排出する。

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