【東京医科大学】心筋梗塞におけるステント留置後の再狭窄にプロスタグランディンE受容体EP4によるFibulin-1の産生亢進が関与 ~内膜肥厚形成を抑制する新たな治療戦略となる可能性を示唆~
Digital PR Platform / 2024年10月1日 14時5分
【本研究で得られた結果・知見】
血管傷害部位ではプロスタグランディンEが産生されていることが知られていますが、その受容体の時空間的な発現パターンは明らかにされていなかったことから、本研究ではPGE₂の下流にあるEP4に着目し、EP4の時空間的発現、さらにはその下流にある分子メカニズムを解明することを目的としました。我々の研究室ではEP4レポーターマウス(Ptger4-IRES-nlsLacZ)を新たに作製し、EP4の発現を可視化することで大腿動脈ワイヤー損傷後2週に内膜肥厚部の血管平滑筋細胞にEP4が高発現することを見出しました。この時期は平滑筋細胞の増殖により内膜肥厚形成が亢進しています。また、網羅的遺伝子解析より血管平滑筋細胞においてPGE₂-EP4刺激はfibulin-1を顕著に増加していることがわかりました。EP4ヘテロ接合体欠損マウス(Ptger4fl/+;SM22-Cre)(注:fl/+は上付き)、EP4過大発現マウス(Ptger4-Tg)、Fibulin-1欠損マウス(Fbln1fl/fl;SM22-Cre)(注:fl/flは上付き)を用いることで、血管傷害部位で産生されるPGE₂はEP4を刺激してfibulin-1を増加させ、TGF-β/Smad3シグナルを介して血管平滑筋細胞の遊走増殖を促進させて内膜肥厚形成を促進することを明らかにしました。また、EP4アンタゴニストの全身投与は血管損傷後の内膜肥厚を減少させることがわかりました。
【今後の研究展開および波及効果】
今回の研究によりEP4アンタゴニストの経口、局所投与、あるいはfibulin-1のダウンレギュレーションは内膜肥厚形成を抑制する可能性が示され、ステント内再狭窄に対する新たな治療戦略となることが期待されます。
【論文情報】
タイトル:Spatiotemporal EP4-fibulin-1 expression is associated with vascular intimal hyperplasia
著 者:Shigekuni Okumura, Sayuki Oka, Takako Sasaki, Marion A. Cooley, Yuko Hidaka, Hana Inoue, Hitoshi Nishijima, Shin-Ichiro Ohno, Shota Tanifuji, Mari Kaneko, Takaya Abe, Masahiko Kuroda, Tadashi Yokosuka, Richard M. Breyer, Hiroshi Homma, Yuko Kato, Utako Yokoyama*(*:責任著者)
掲載誌名:Cardiovascular Research
DOI:10.1093/cvr/cvae211
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