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日本製鉄 微生物による金属腐食に対する診断技術開発に着手 ―廃炉環境から一般産業環境まで―

Digital PR Platform / 2024年10月4日 14時5分

【用語解説】
※2 バイオマーカー:標的となる特定の生物機能を担う生物的な情報(特定の遺伝子配列やタンパク質など)

4.研究計画
研究チームは様々な環境での微生物腐食研究を進めてきた若井主任研究員を中心に、多検体同時腐食試験評価系の開発を進めるNIMS、1F 環境を想定した腐食試験リアクターを用いた実験を実施する電中研、金属腐食と微生物集団の群集構造データの統計解析を実施する日本製鉄、放射線環境下での腐食試験等を実施するJAEA が連携することで、様々な腐食環境から蓄積されたデータおよび1F 想定環境での腐食データを統合し、金属腐食活性と相関の取れた腐食性微生物検出技術の開発を進めます。(図1)



[画像1]https://digitalpr.jp/simg/84/96122/700_351_2024100115524766fb9c3f0ffac.JPG



図1 研究体制

NIMS では、既に開発済みの電気化学活性微生物の迅速集積方法を用いた腐食性微生物の集積培養や独自に開発する多検体同時腐食試験評価系を用いて1F 周辺環境を含む環境試料中からの高腐食性微生物を探索します。また、多検体同時腐食試験評価系を用いて、防食に使用される各種薬剤等の効果について微生物腐食能を指標として評価します。本試験系は、廃炉環境以外にも一般産業環境を加味した検討が可能であり、波及効果の高い研究課題です。
電中研では、1F 建屋内を想定した反応リアクターを構築し、これまで公開されている環境情報に基づいてパラメータを設定することで、現場環境を模擬した微生物腐食試験を実施します。本試験系では、廃炉工程において生じ得る環境変動を想定した試験も可能であり、今後の廃炉工程に対して長期的な安全性を確認するためにも重要な研究課題です。
JAEA では、腐食生成物中の微生物分布や放射線環境下での微生物腐食について検討します。これまで腐食生成物から十分量の微生物由来DNA が回収できることは分かっていますが、腐食生成物中にどのようにこれらの微生物が分布しているかは明らかになっておらず、腐食メカニズムを解明するためには分布状況とそこでの微生物の作用を明らかにしていくことが不可欠です。また、様々な微生物による金属腐食能が確認されていますが、放射線環境下で実際に腐食が進行するかどうかの検討もできておらず、いずれの研究項目も重要な研究課題となっています。
日本製鉄は、排水処理の分野において複雑多様な微生物集団から重要水処理微生物を同定する統計解析技術*2 を有しています。そこで、NIMS、電中研、JAEA の実験において検討される様々な培養条件中での微生物集団について、JAMSTEC において網羅的に遺伝子解析を実施し、得られた金属腐食活性と微生物集団情報を日本製鉄の統計解析技術を用いて解析し、数千種以上が存在する微生物集団の中から金属腐食に影響している微生物情報を抽出します。
JAMSTEC では、前述の培養物等について微生物集団の群集構造解析を網羅的に実施することに加えて、腐食活性の高い微生物集団についてメタゲノム解析(※3)を実施し、金属腐食活性と生体情報を関連付けることのできるバイオマーカーを特定します。現場レベルで使用可能なDNA 抽出プロトコルについては既に確立しており、バイオマーカー等の情報に基づいて、オンサイトで迅速かつ簡便に腐食リスクを予測する技術の開発を行います。(図2)

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