【青山学院大学】全俊豪准教授(理工学部 電気電子工学科)ら4大学の共同研究チームがカーボンニュートラルを駆動する新電力機器を開発 ~ヒューズ・半導体・メカトロ制御で実現した新方式の高速電力遮断~
Digital PR Platform / 2024年10月2日 14時5分
【研究内容】
そこで本研究では、ヒューズ・半導体・メカトロニクス制御が協創した全く新しい遮断方式を採用することで、サイズ・重量において高いメリットを有するにも関わらず、直流・交流を問わず、ありとあらゆる電力が毎回確実に高速で遮断できる「限流遮断器」を開発した。この開発の過程において本研究ではまず、ヒューズ・半導体が連携した新遮断方式の基礎原理を初めて実証し(参考文献(1))、次にこれをメカトロニクス制御と組み合わせることで、高速ヒューズ転換による再閉路*6を実現してきた(参考文献(2))。これらの基礎技術は既に国際特許化されている(参考文献(3))。
しかしこれまでの開発成果は、数100V・数100A の小電力に限定されていた。そこで本研究ではこれまでの研究成果(参考文献(1-3))を発展させ、このたびヒューズ・半導体・メカトロニクス制御の協調動作を強化した。これにより、適用可能な電力量を更新し、次世代の電力システムや電化機器に適用される直流kV・kA の電力を約10msで高速遮断することに成功した(図2)。さらに本限流遮断器のサイズと重量は、現行機器に比して最大1桁の優位性がある(図3)。
【今後の展開】
この遮断器では、ヒューズにより異常な大電力を迅速かつ自動で検知し抑制(=限流)することで、通常運用時の数十倍以上にも達する大電力の発生を、未然に防ぐことが可能である。これにより、異常な大電力通電に耐えるための余剰設計を緩和することができるため、電力システムや電化機器の全体サイズ・重量を大幅に削減しつつ、電力システムや電化機器の安全性と堅牢性を著しく改善することが可能になる。そのため本研究は、太陽光や風力といった再生可能エネルギーが大量導入された新しい電力システムや、電気を動力源とする電動航空機や電動船舶、さらにはビッグデータや量子コンピュータを内包した大規模データセンターの実現を加速させ、カーボンニュートラルやIoT、Beyond 5G/6G といった未来社会の実現に大きく貢献できると考えられる。
【論文情報】
掲載誌:電気学会論文誌D(産業応用部門誌)
論文名:ヒューズと半導体を併用した限流遮断器による低電圧システムの事故・負荷電流遮断
著者名:稲田 優貴、全 俊豪、大西 亘、兒玉 直人、中野 裕介、高田 康宏、佐々木 怜音、宮岡 優太、塚本 幸佑、山田 圭矢、山納 康
DOI: https://doi.org/10.1541/ieejias.144.502
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