【シュローダー】2024年10月 グローバル債券チームによる経済見通し
Digital PR Platform / 2024年10月4日 10時0分
8月下旬に行われたジャクソンホール会合では、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が労働市場の下振れリスクが高まっていること、そして、そのリスクを軽減するための政策余地があるとの認識を示しました。彼は講演において、「現在の政策金利の水準は、労働市場のさらなる軟化等あるあらゆるリスクに対応する十分な余地を与えてくれている」と述べました。
FRBは9月の会合で、この言葉を裏付ける適切な行動を取りました。そして、FRBが今後悪いニュースには強く反応する一方、好材料には対する反応は抑えめとなると市場はみています。つまり、債券市場にとっては中期的に追い風が吹いていることを意味していると言えるでしょう。
欧州の苦境
ハードランディング・シナリオの実現可能性が高まったのは、欧州、特に自動車セクターの見通しが悪化したことが要因です。製造業は欧州にとって特に重要であり、世界的な景気減速は特に大きな影響を与えます。さらに、需要の構造変化と競争力をめぐる個別の課題が背景にあることで、景気循環的な問題がより深刻ものとして表れています。
サービス部門は健闘しているものの、財セクターからの逆風に耐えられるだけの勢いはありません。過去1年半にわたってユーロ圏経済の明るい光となってきたスペインでさえも、サービス業に冷え込みの兆しが見え始め、労働市場にも軟化の兆しが見え始めています。
ポートフォリオへの示唆は?
グローバルの国債利回りの低下が勢いよく進みましたが、デュレーション(金利リスク)に対しては依然として強気の見方をしています。ただし、市場の動きが大きくなっていることから、タイミングをみながら長期化していく方針といたします。地域別では、欧州経済への懸念を理由に欧州に対して強気の姿勢といたします。欧州中央銀行(ECB)は利下げを開始しましたが、慎重な姿勢を維持しており、緩和のペースは緩やかでフォワードガイダンスも非常に限定的です。今後、同地域のマクロ経済の軟化傾向が継続するにつれて、ハト派姿勢を強める可能性があるとみています。その他、長期債と短期債の利回り格差が、特にカナダで拡大する可能性があるとみています。
資産配分については、エージェンシー・モーゲージ債およびカバードボンドについて、確信度をやや弱めながらも選好を維持しています。社債については、米国投資適格社債の弱気姿勢、欧州投資適格社債の対米国での選好姿勢をいずれも継続しています。
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