膵がん患者の予後にケストースが好影響を与えることを示唆
Digital PR Platform / 2024年10月17日 10時0分
ケストースを用いた食事療法が乱れた腸内細菌叢を改善し、膵がんの新たな治療法へつながる可能性
藤田医科大学(愛知県豊明市)消化器内科学講座、医科プレ・プロバイオティクス学講座(廣岡芳樹教授)は、ウェルネオシュガー株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:山本貢司)と共同で、膵がん患者に対するプレバイオティクス※1の有用性を確認する研究を行いました。
膵がんと診断された患者のうち化学療法に反応するのは半数以下しかありません。その一因として、膵臓がん患者の腸内細菌叢は健常者のそれと大きく異なり、腸内細菌叢の乱れが化学療法の効果に影響を及ぼしている可能性が指摘されています。そこで研究グループは、腸内細菌叢を改善するプレバイオティクスの代表格で、さまざまな疾患に効果を発揮することが報告されている「ケストース」を膵がん患者に12週間投与。その結果、ケストースが腸内細菌叢を改善し、予後に関わる要因に好影響を与えることが示されました。今後、より大規模かつ長期的な研究により、膵がん患者の予後改善に向けたケストースの効果検証が期待されます。
本学とウェルネオシュガー社は本研究成果について現在、特許を申請しており、将来的には藤田医科大学が行っている膵がんの最先端治療と、ケストースを用いた食事療法を組み合わせることで、病気の改善および予防に寄与していきたいと考えます。
本研究成果は2024年8月29日、栄養に関する国際科学ジャーナル「Nutrients」(オンライン版)に公開されました 。
論文URL:https://www.mdpi.com/2072-6643/16/17/2889
<研究成果のポイント>
ケストースが腸内細菌叢を改善し、膵がん患者の予後に関わる要因に好影響を与えることが示唆された
フルクトオリゴ糖であるケストースを12週間にわたり1日9g投与した膵がん患者で、腫瘍マーカーCA19-9が有意に減少
好中球とリンパ球の比率(NLR)が低下し、炎症マーカーであるC反応性タンパク質(CRP)増加が抑制
血清アルブミンの減少が抑制され、栄養状態の改善が確認された
膵がん患者で増加している大腸菌が、ケストースの摂取により顕著に減少
将来的には、ケストースを用いた新たな膵がんの治療法の確立につながる可能性が期待される
<背 景>
膵がんは予後が非常に悪く、診断時には多くが進行しており、化学療法に対する反応率も低いため、治療が困難ながんの一つです。膵がんの進行や治療効果には腸内細菌叢が深く関与していることが示唆されており、新たな治療アプローチとして腸内環境の改善が注目されています。
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