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世界初、切除不能膵癌に対するWilms腫瘍(WT1)樹状細胞ワクチンを併用した化学療法を考案・実施

Digital PR Platform / 2024年10月29日 10時0分

世界初、切除不能膵癌に対するWilms腫瘍(WT1)樹状細胞ワクチンを併用した化学療法を考案・実施

~治療奏効率70.0%、病勢制御率100%を達成~

東京慈恵会医科大学の消化器・肝臓内科教授(当時)小井戸薫雄らは、切除不能膵癌に対して、世界初の治療法として「Wilms腫瘍(WT1)に対する新規多機能型ペプチドをパルスした樹状細胞ワクチン(WT1樹状細胞ワクチン)を併用した標準化学療法(ゲムシタビン・ナブパクリタキセル)」を考案・実施しました。
当免疫化学療法を実施した外科手術が不可能と判断された10名の進行膵癌患者のうち7名が手術可能となり、そのうち4名は長期間におよび腫瘍サイズが安定し生存しています。
本研究の成果は、2024年10月8日にJournal for ImmunoTherapy of Cancer誌オンライン版に掲載されました。

【本研究のポイント】
〇切除不能膵癌に対して、世界初の免疫化学療法を考案しました。
〇外科的切除が不可能と判断された10名の進行膵癌について、本治療を受けることで7名の方の手術が可能となりました。
〇7名のうち、著しく治療効果が得られた患者さんは4名みられました。

【成果】
(1) 主要評価項目として、新規免疫化学療法の安全性を評価して、副次評価項目として臨床転帰およびWT1特異的免疫応答の誘導を評価しました。その結果、10名すべてに安全に治療が実施できました。
(2) 臨床転帰の評価が可能だった9名における全生存期間中央値は3.52年、無増悪生存期間中央値は2.23年でした。また、治療奏効率は70.0%、病勢制御率は100%と非常に良い治療効果が得られました。従来の標準化学療法(ゲムシタビン・ナブパクリタキセル)単独での全生存期間中央値(0.71年)、無増悪生存期間中央値(0.46年)と比較し、生存成績は良好であることが期待されました。
(3) 新規免疫化学療法では切除が出来ないと判断された進行膵癌10名中7名が手術可能となりました。興味深いことに、著しく治療効果が認められた患者さんは4名にみられ、現時点で4.5年以上におよび生存中です。その4名は、腫瘍抗原であるWT1に対して、強い免疫反応が長期間誘導・維持できていました。
(4) 手術が可能となった患者さんの膵癌局所を解析した結果、腫瘍の局所には抗腫瘍免疫に関連するリンパ球が多く集まっていました。また、免疫を抑制する抑制性T細胞の集簇は少ない事が分かりました。従来、膵癌局所は免疫が抑制された状態ですが、新規免疫化学療法にて抗腫瘍免疫が活性化された状態に変化している可能性があります。
(5) 以上の結果から、これまで有効な治療法が無かった切除不能膵癌に対して、WT1樹状細胞ワクチンと標準化学療法(ゲムシタビン・ナブパクリタキセル)を併用した新規免疫化学療法は有望な治療法となる可能性が期待されます。しかし、実施した症例が少なく今後は大規模での治験の実施が望まれます。

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