膵頭十二指腸切除術後の腸内細菌叢の変化と脂肪肝リスクの関連性を解明
Digital PR Platform / 2024年11月14日 11時27分
―プレバイオティクスを用いた腸内環境の改善が新たな治療戦略へー
藤田医科大学(愛知県豊明市)総合消化器外科学 須田康一教授、消化器内科学兼医科プレ・プロバイオティクス講座 廣岡芳樹教授らの研究グループは、膵がん患者の膵頭十二指腸切除術(PD)※1における非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)※2の発症に対する腸内環境の影響を調べる研究を行いました。
その結果、PDを受けた患者の腸内細菌叢(マイクロバイオーム)※3の変化が、術後に脂肪肝(NAFLD)を引き起こす可能性が示唆されました。この研究は、術後の代謝合併症予防に腸内細菌叢への介入が有望であることを示唆するものであり、消化器系手術を受けた患者の治療法に新たな可能性を提供するものです。
本研究成果は、膵臓研究に関する国際科学ジャーナル「Pancreatology」の2024年10月3日(オンライン版)に公開されました 。
論文URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1424390324007555?via%3Dihub
PMID: 39419749
<研究成果のポイント>
PD術後に特定の腸内細菌(特に胆汁酸や脂肪代謝に関わる菌)が減少し、消化機能の低下とともに腸内環境が変化することが確認されました。
一部の患者では腸内細菌叢の変化により脂肪肝を発症し、特にBacteroides属やFirmicutesの減少が脂肪蓄積と関連することが示唆されました。
これらの菌の減少が代謝に悪影響を与え、脂肪肝などのリスクが高まる可能性があると考えられます。
<背 景>
膵頭十二指腸切除術(PD)は、膵臓がんや慢性膵炎などの治療に使用される大規模な手術で、消化器官の構造が大きく変わり、消化機能が低下します。手術後、胆汁酸や脂肪の代謝に関連する腸内細菌が減少し、腸内細菌叢のバランスが変化することで、脂肪肝の発症リスクが高まる可能性が指摘されていました。この研究は、PD術後の腸内細菌叢の長期的な変化と脂肪肝との関連を明らかにすることを目的としています。
<研究方法>
本研究は、膵頭十二指腸切除術を受けた患者を対象とし、術後の腸内細菌叢の変化と脂肪肝の発症リスクの関連性を分析しました。対象患者の腸内細菌は16S rRNAシーケンシングで解析し、術後経過に伴う菌の変化を追跡しました。また、脂肪肝発症は血液検査および画像検査を通じて評価され、特定の腸内細菌(例:Bacteroides属やFirmicutes)の減少が脂肪肝とどのように関係するかを分析しました。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
世界初、切除不能膵癌に対するWilms腫瘍(WT1)樹状細胞ワクチンを併用した化学療法を考案・実施
Digital PR Platform / 2024年10月29日 10時0分
-
日本人の大腸がん死亡率は世界トップ…研究で判明した大腸がんリスクを「上げる食材」と「下げる食材」
プレジデントオンライン / 2024年10月22日 16時15分
-
順天堂大学とメタジェンセラピューティクス、パーキンソン病患者に対する「腸内細菌叢移植療法」に関する共同研究を開始
PR TIMES / 2024年10月21日 16時45分
-
(株)FINAL ANSWER 獣医学分野におけるプレ・プロバイオティクスの活用を目指し藤田医科大学公認ベンチャーバイオシスラボとの本格的な業務提携を開始
PR TIMES / 2024年10月19日 17時40分
-
膵がん患者の予後にケストースが好影響を与えることを示唆
Digital PR Platform / 2024年10月17日 10時0分
ランキング
-
1【独自】住民税非課税世帯に3万円検討 子1人2万円上乗せも、物価高で
共同通信 / 2024年11月13日 21時42分
-
2世界初!「おむつファッションショー」開催の狙い おむつは白だけじゃない!企画が始動した背景
東洋経済オンライン / 2024年11月15日 9時30分
-
3半導体バブルに異変「AIかそれ以外」明暗くっきり "異次元の生産"に沸くアドバン、赤字のローム
東洋経済オンライン / 2024年11月15日 7時30分
-
4郵便局でポイント獲得=商品と交換―日本郵政
時事通信 / 2024年11月15日 16時53分
-
5実は絶品「富士そばのカレーかつ丼」誕生の背景 ある意味珍メニュー?はこんなふうに生まれた
東洋経済オンライン / 2024年11月15日 8時50分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください