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セロトニンとグルタミン酸の相互作用による自閉スペクトラム症の新たな病態メカニズムを解明

Digital PR Platform / 2024年11月15日 10時0分

<研究手法・研究成果>
妊娠12.5日目の母親マウスにVPAを腹腔内投与すると、その仔は繰り返し行動の増加、社会性や認知記憶の低下など、ASD様行動が認められました。また、脳内のグルタミン酸神経シグナルの亢進や、セロトニン遊離の低下が認められました。そこで、グルタミン酸神経シグナルの亢進を抑制するメマンチンを投与すると、ASD様行動は改善しました。また、セロトニン神経伝達を促進する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の一つであるフルオキセチンによるセロトニン神経伝達の促進や、光遺伝学的なセロトニン神経の活性化は、グルタミン酸神経シグナルを抑制し、社会性や認知記憶の低下を改善しました。セロトニン1A受容体はグルタミン酸神経機能の抑制作用が報告されています。セロトニン1A受容体拮抗薬はフルオキセチンによるASD様行動やグルタミン酸神経シグナル亢進に対する改善効果を拮抗しました。セロトニン1A受容体作動薬(タンドスピロン)の投与は、ASD様行動やグルタミン酸神経シグナルの亢進に対し効果を示しました。


[画像1]https://digitalpr.jp/simg/2299/99046/700_381_202411141603356735a0c74c100.jpg



<今後の展開>
セロトニン神経系とグルタミン酸神経機能の相互作用にはセロトニン1A受容体が関与し、これら相互作用を調整することは新たなASD治療薬の開発ターゲットとなることが期待されます。

<用語解説>
※1 グルタミン酸神経系
グルタミン酸神経系:中枢神経系において、神経伝達物質であるグルタミン酸が受容体に結合することにより、重要な興奮性伝達を行う神経です。記憶や学習などの機能に関与しています。グルタミン酸神経の機能異常は様々な精神神経疾患に関与していることが知られています。

※2 セロトニン神経系
セロトニン神経系:中枢において、神経伝達物質であるセロトニンを含有する神経系です。セロトニンは精神の安定や睡眠、学習など多岐にわたり重要な役割を担っています。セロトニンの減少は、うつ病や不安障害などに関与することいわれています。

<文献情報>

論文タイトル
Autism Spectrum Disorder-like Behaviors induced by Hyper-glutamatergic NMDA Receptor Signaling through  Hypo-Serotonergic 5-HT1A Receptor Signaling in the Prefrontal Cortex in Mice Exposed to Prenatal Valproic acid

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