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直腸癌に対するロボット手術と腹腔鏡手術後の男性性機能障害発生率を調査する多施設共同前向き観察研究

Digital PR Platform / 2024年11月15日 14時0分

直腸癌に対するロボット手術と腹腔鏡手術後の男性性機能障害発生率を調査する多施設共同前向き観察研究




 横浜市立大学附属市民総合医療センターの沼田正勝講師らの研究グループは、ロボット支援による直腸癌手術が、腹腔鏡手術に比べて男性患者の性機能をより良く保つ効果があることを明らかにしました。本研究成果は、「Annals of Surgery」にオンライン版で先行公開されました(2024年10月22日 )。

研究成果のポイント


49か所の共同研究施設において、男性直腸癌患者410名(患者年齢59歳[中央値])を対象に調査を実施。
術後12か月の射精障害発生率は、ロボット手術25.0%に対して腹腔鏡手術40.9% (p=0.049)。
術後12か月の性交障害発生率は、ロボット手術17.8%に対して腹腔鏡手術29.0%(p=0.055)。
ロボット手術が射精機能および性交機能に対して有益であることが明らかになったのは世界初の成果。




[画像1]https://digitalpr.jp/simg/1706/99050/650_365_202411141613376735a321abd36.jpg


図1 手術アプローチ別の術後性機能障害発生率

研究背景
 直腸癌手術では、直腸の周囲にある自律神経が傷つくことで、男性に性機能障害が起こることが知られています。特に開腹手術の場合、術後の性機能障害の発生率は約68%と高いことが報告されています[1]。男性の性機能障害には、射精障害(射精ができない、精液を伴わない射精など)、勃起障害(勃起の程度が弱まる)、性交障害(勃起不全のため性交ができない)といった具体的な種類があります[2,3,4]。男性にとって性機能障害は、生活の質の低下や不妊の原因になるため重要な合併症ですが、直腸癌に関する過去の研究では、主要な評価項目として検討されたことはほとんどありませんでした。
 さらに、直腸癌手術の方法は2010年代に腹腔鏡手術が普及し、2020年以降はロボット手術も広がっています。しかし、ロボット手術が腹腔鏡手術と比べてどのような利点があるかについては、十分に明らかになっていませんでした。

研究内容
 本研究は、研究母体である腹腔鏡下大腸切除研究会*1に所属する全国の大学、がんセンター、地域基幹病院など49施設において、直腸癌に対して腹腔鏡またはロボット手術を行う予定の70歳以下の男性患者410名を対象に行いました。性機能アンケートを、術前と術後(3ヶ月、6か月、12か月)の合計4回実施。具体的には、射精機能アンケート、勃起機能アンケート(勃起高度スコアEHS*2、国際勃起機能スコアIIEF-5*3)について調査しました。その結果、ロボット手術群と、腹腔鏡手術群で患者背景を揃えたうえで、発生率が比較されました。術後12か月の時点で、射精障害はロボット群で25.0%、腹腔鏡群で40.9%とロボット群で有意に低く、さらに、性交障害発生率はロボット群で17.8%、腹腔鏡群で29.0%とロボット群で低い傾向が示されました。(図1)

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