野村萬斎、片岡愛之助…“伝統芸能”を背負いながらも挑戦をためらわない俳優たち

dmenu映画 / 2017年6月2日 7時0分

6月3日に公開される『花戦さ』は、野村萬斎が戦国時代に実在した池坊専好という京都の花僧に扮するエンタテインメント時代劇。主演の野村萬斎は言わずと知れた狂言方和泉流の狂言師であり、共演の市川猿之助も歌舞伎役者です。今回は、彼らのように日本の伝統芸能を背負いながらも、映画やドラマで活躍する俳優たちを紹介します。

「市川中車」の名を継いだ怪優…香川照之

2011年に九代目市川中車を襲名して歌舞伎界へ進出したのが、香川照之です。彼の父親は、歌舞伎役者の二代目市川猿翁。しかし3歳の時に両親が離婚したため、彼は母に引き取られ女手一つで育てられてきました。俳優デビュー後は、歌舞伎とは無縁のままその実力を確固たるものにしています。脇で出演してもその圧倒的な演技力で主役を食らうこともある、まさに怪優と呼ぶに相応しい俳優です。

歌舞伎の世界では芸名を統一すべきという仕来たりがあり、本来ならば襲名後、市川中車のみを名乗るべきところでした。しかし、俳優としての実績を考慮されたことで、ドラマや映画ではそのまま香川照之を名乗ることが許されたといいます。実はこれは歌舞伎界では特例の措置だとか。これまで彼の築き上げてきたものが、歌舞伎界にも認められたということでしょう。

歌舞伎界初、しかも唯一の仮面ライダー俳優…片岡愛之助

愛之助から連想された“ラブリン”の愛称で知られる歌舞伎役者・片岡愛之助。テレビドラマ「半沢直樹」(2013年)ではおネエ口調のエリート官僚役で注目を集めた彼は、歌舞伎とは無縁のスクリュー製造工場を営む家庭の生まれ。実家の工場で子どもがウロチョロするのは危ないという理由で、松竹芸能のタレント養成所に習い事の一環として通っていたそうです。

その後、片岡愛之助は本名の「山元寛之」の名で歌舞伎の舞台に立つようになります。その才能と意欲を十三代目片岡仁左衛門に見出され、二代目片岡秀太郎の養子となって上方歌舞伎の伝統を継ぐことになりました。

実は片岡愛之助は、歌舞伎界初で唯一の仮面ライダー俳優です。彼の演じた仮面ライダーマルスは、『劇場版 仮面ライダー鎧武 サッカー大決戦! 黄金の果実争奪杯!』(2014年)に登場したライダー。自らを新世代の神と称する謎の男という役どころでした。このオファーがきた時は、「まさか歌舞伎役者に仮面ライダー役がまわってくるとは」と歌舞伎界に大きな衝撃を与えた模様。しかし、本人は昔からライダーファンだったため、2つ返事でOKしたそうです。

歌舞伎役者×ラップの斬新なコラボを披露…尾上松也

歌舞伎の世界だけでなく、ラジオやミュージカルでも活躍中の二代目尾上松也。彼は5歳のとき、歌舞伎座で二代目尾上松也として初舞台を踏んでいます。その日は父である六代目尾上松助の襲名披露の日でしたが、前日に当時の松竹会長からあった「息子も出しちゃえ」という鶴の一声で決まったとか。その後、名子役として数々の賞を受賞し、その実力を世に知らしめました。近年では自主公演を継続して主催し、自らの可能性に挑戦し続けています。

そんな彼はディズニーの長編アニメ『モアナと伝説の海』(2017年)の日本語吹替版で伝説の英雄・マウイを演じています。本作が声優初挑戦だった尾上松也ですが、実は劇中でもうひとつの初挑戦を体験。モアナとマウイが初めて会うシーンで流れる劇中歌「俺のおかげさ」を歌い上げているのです。しかも、この曲のフルバージョンにはラップパートも。初めてとは思えない見事な歌声を披露していました。さらに言えば歌舞伎役者×ラップというコラボこそ、史上初だったのではないでしょうか。

実は嵐の松本潤とは同級生…中村七之助

十八代目中村勘三郎の次男である二代目中村七之助は、幼少時から兄の六代目中村勘九郎とともに、ドキュメンタリーやニュース番組などでその姿を取り上げられていました。今では細身のルックスと、憂いのある美しい表情が魅力の女形として成長を遂げています。テレビドラマや映画でも活躍中です。

中村七之助は堀越高等学校の出身なのですが、その同級生でもっとも仲の良かった相手が嵐の松本潤。反抗期だった中村七之助が退学しようとしたところを引き留めるなど、親友といっていい存在だったそうです。父である中村勘三郎も松本潤を息子のようにかわいがっていて、中村勘三郎の葬儀では朝から晩まで訪問客にサンドイッチを配っていたとか……。中村七之助自身も「親友は大切だと思いましたし、父のことも愛してくれていた」と後に語っています。

(c)2017「花戦さ」製作委員会

花をもって平和への戦いに挑んだ"けったいな"男・池坊専好が、太閤秀吉に一世一代の戦さを仕掛けた痛快時代劇エンタテインメント『花戦さ』。本作では狂言師・野村萬斎が池坊専好を、歌舞伎役者・市川猿之助が秀吉を演じます。

俳優としての野村萬斎は、『陰陽師』(2001年)や『のぼうの城』(2012年)などの時代劇映画での活躍は言わずもかな。『風立ちぬ』(2013年)や『GAMBA ガンバと仲間たち』(2015年)では声優として、『シン・ゴジラ』(2016年)ではゴジラのモーションアクターとしての出演も果たしており、活躍の場をどんどん広げています。

一方、市川猿之助はテレビドラマや映画での活躍はもとより、古典芸能化した歌舞伎とは異なる演出による現代風歌舞伎「スーパー歌舞伎Ⅱ」の中心役者として、新しい歌舞伎作品を上演中。特に、2016年は人気マンガ『ワンピース』と奇跡の融合を果たし、「スーパー歌舞伎II ワンピース」としてルフィ・ハンコック・シャンクスの3役を演じました。この作品はシネマ歌舞伎『スーパー歌舞伎II ワンピース』(2016年)として映画上映もされています。

そんな日本の伝統芸能を代表する俳優2名が、豪華共演する『花戦さ』。見逃す手はありませんよ!

(文/もちづき千代子@H14)

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