名優レイフ・ファインズが20年越しで映画化を熱望した企画とは?

映画.com / 2018年10月31日 12時0分

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 [映画.com ニュース] ソ連出身の不世出のバレエダンサー、ルドルフ・ヌレエフが西側世界に亡命するに至った若き日を、ユニークな構成でスリリングに紡ぎだす。劇作家デビッド・ヘアーが脚本を担当し、名優レイフ・ファインズが監督。さらに教師役で出演もし、作品に深みをもたらしている。ヌレエフ役にはタタール劇場のプリンシパル、オレグ・イベンコを抜擢。圧巻のダンスシーンとともに、ファインズの指導のもと、瑞々しい演技を披露している。

――長年映画化を温めていた題材と聞きしました。映画化するまでの経緯をお話しください。

レイフ・ファインズ監督(以下、ファインズ監督):映画化を考えはじめたのは、20年ほど前のことです。ルドルフ・ヌレエフの青年時代の伝記を読んで心を動かされました。ギャビー(ガブリエル・タナ/プロデューサー)とは一緒に2本の映画を製作したのですが、彼女に「この題材をやるの、やらないの?」と迫られ、引き受けることにしました。

――脚本は「プレンティ」などで知られるデビッド・ヘアーが担当していますね。

ファインズ監督:私にとってデビッドとの関係は極めて重要なものでした。彼との会話から作品を具現化させていきました。作品の構造は、デビッドの提案でした。彼はパリのパートに興味を持ち、私はレニングラードの子供時代のパートに興味を持っていました。でも、パリのパートの合間にフラッシュバックが挿入されるような、よくある構造にはしたくなかったのです。混乱状態にあるかのようにタイムフレームが交錯していながら、秩序があって、見ていくうちに自然と亡命の瞬間に通じるような構造が面白いと思いました。脚本の初稿にはそれが強く表れていて、気に入りました。それが第一歩でしたね。

――この題材のどの部分に最も惹かれたのですか?

ファインズ監督:ルドルフの自己実現しようとする意志・精神に感動したのです。例えば、アートギャラリーに訪れて絵画からいろんなものを吸収しようとする飢え。踊ることに対する決意の強さに心を動かされました。しかも、背景には冷戦があります。彼は難しいけれども強い人柄を持っています。なにより、ここで描かれているのは、有名なヌレエフではありません。若き日のヌレエフです。そこが私たちにとっては重要なポイントで、私たちは「これから進化していく人の過程を見せたい」と思いました。

――時代背景も重要ですね。

ファインズ監督:イデオロギーを単純に表したくはなかったのですが、あの時代のソ連には個人ではなく全体として行動する、個人は全体のために仕えるというイデオロギーがありました。ヌレエフは個人的な人でした。彼の個人主義が体制と合わず、最終的に体制側が彼の人生を抑圧しようとするところまで至りました。彼の「自由になりたい」というシンプルなセリフにはすごく大きな意味があると思います。

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