ガス・バン・サント、怪優ホアキン・フェニックスへの演出は「コントロールをしないこと」

映画.com / 2019年5月2日 10時0分

 「彼は、抑えることができずに全てを出し切るのです。その後も彼はいろんな映画を経ています。『ブギーナイツ』のオファーも受けていたんだそう。ポール・トーマス・アンダーソンはその時から彼を使いたかったそうですが、ホアキンは裸のシーンなどを不安に思って、断らざるを得なかったと。『ザ・マスター』はとてもはまっていました。彼の一番いい仕事だったんじゃないでしょうか。映画は『ザ・マスター』を超えなかったけど『インヒアレント・ヴァイス』の彼もよかった。ポール(・トーマス・アンダーソン)との2本が、彼の出演作で最高のものだと思う。彼は素晴らしい監督だし、ホアキンとのコンビネーションは素晴らしく、ディテールへのこだわりが感じられる。それを見ているとなんだか僕は二流のような気持ちになってしまうんだ。私の撮影スケジュールより、ずっと彼らの方が長いからね。ポールはそれだけ一緒にホアキンと時間を過ごすことができるんだ。僕らはそれほどお金もないし、10分の1くらいかもしれないね。ともかく、ホアキンは才能もあるから、キャラクターの素養と監督の力が全部合わさらなきゃいけないんだ。今回の僕の作品も、『ザ・マスター』の演技と同じくらい素晴らしかったと思う」

--ホアキン・フェニックスは、今作も含め、一癖ある個性的な役柄を演じることが多い俳優ですね。彼とはどのように仕事をするのでしょうか。

 「友人のように仕事ができるタイプです。なぜかわからないけど、僕のことを信頼してくれていているからだと思う。もしかしたら僕よりポールを信頼しているかもしれないけど…(笑)。仕事をしやすいし、楽しいけれど、結構厳しい毒を吐くときもあります。『ドント・ウォーリー』で覚えているのは、映画を撮る数週間前に、ジョナ・ヒルとホアキンが、パームスプリングスの僕の家に来て3人でダイニングルームのテーブルに座って、異なる7つのシーンをやってみたんです。ふたりでやる掛け合いのシーンがあって、リハーサルのいいチャンスだと思ったのです。でも、何度やってもホアキンは棒読みで演技はしないんです。僕が期待していたような演技は全くやりません。シーンの中で、もっと深くまで到達しなければいけないとわかっているはずなのに、やらないでいる状態。どうしてかわからなかったけれど、プッシュするよりも、このタイミングではないかも、とそこで気持ちを留めたのです。もしかしたら、お互いを探るための時間が必要だったのかもしれません」

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