1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

【ハリウッドコラムvol.313】「破天荒」な上司像を生み出した傑作ドラマ「テッド・ラッソ」

映画.com / 2021年10月7日 16時0分

写真

「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」 写真:Moviestore Collection/AFLO

 ゴールデングローブ賞を主催するハリウッド外国人記者協会(HFPA)に所属する、米ロサンゼルス在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリストの小西未来氏が、ハリウッドの最新情報をお届けします。

***********************************************

 Apple TV+のオリジナルドラマ「テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく」が、米テレビ界最高の栄誉であるエミー賞で作品賞(コメディシリーズ部門)を含む7冠に輝いた。

 Apple TV+は、リース・ウィザースプーンとジェニファー・アニストン共演の「ザ・モーニングショー」や、ジェイソン・モモア主演の「See 暗闇の世界」、架空の歴史を舞台に綴られる宇宙開発ドラマ「フォー・オール・マンカインド」、M・ナイト・シャマランが制作総指揮を務める「サーヴァント ターナー家の子守」など、Appleの豊富な資金をバックに魅力的なオリジナルドラマを用意している。話題作がひしめくなか、「テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく」はほぼノーマークで配信を開始したものの、あっという間にクチコミが広がり、名実ともにApple TV+の看板ドラマとなっているのだ。

 主人公は、アメリカ人のアメフトコーチのテッド・ラッソ。イギリスのサッカーチームの監督に招聘された彼は、ロンドンに単身赴任することになる。サッカーの経験も知識もない田舎者のアメリカ人がプレミアリーグの監督を務めるのだから、トラブルが発生しないわけがない。古くは「お熱いのがお好き」から、「ビバリーヒルズ・コップ」「クロコダイル・ダンディー」「デンジャラス・ビューティー」「スクール・オブ・ロック」と、主人公を正反対の世界に投げ込むのは、コメディの常套パターンである。

 また、サッカーの世界を舞台にしているから、友情やスリルや感動といったスポーツドラマの要素もある。

 だが、「テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく」が傑出しているのは、主人公のキャラクター設定にある。近年のコメディ界において、上司といえば嫌なヤツと相場が決まっていた。その先鞭をつけたのが英ドラマの「The Office」で、リッキー・ジャーベイスが演じた無知で無能で横柄な上司は強烈なインパクトを残した。2001~02年にイギリスで放送されたのち、アメリカでリメイク版「ジ・オフィス」が05~13年に放送。「The Office」がもたらした影響はあまりにも大きく、映画「モンスター上司」シリーズや、ドナルド・トランプのリアリティ番組「アプレンティス」などに発展していく。嫌な人間に権力を握られると、その部下は葛藤を抱えることになるし、上司の言動が過激になるほど笑いが大きくなる。かくして、映画やドラマでは、シニカルで傲慢な権力者が幅を効かせるようになっていった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング