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タル・ベーラ監督が来日「ヴェルクマイスター・ハーモニー」4Kレストア版公開に際し自作を語る

映画.com / 2024年2月28日 10時0分

 奇妙な話です。たしか出版前の新作という状態でラースローから手渡され、素晴らしい作品でとても気に入りましたが、映像化は無理だと話していました。それは、主人公のヤーノシュを演じられる人間を全く想像できなかったからです。しかし、何年か経ってからベルリンで若いフィルムメーカー向けのワークショップをしている時に、他監督がキャスティングをやっていて、その時にラース・ルドルフに出会ったのです。

 彼が部屋の角の方に座って待っているの見て、なにか感じるものがあって、話しかけました。その日の夕方にラースローに、「ヤーノシュが見つかったから映画にできる」と電話で伝えました。ですから、この映画を作った理由というのはラース・ルドルフとの出会いだったのです。その時の彼のキャリアは、ストリートミュージシャンでトランペットを吹いていて、CDを1枚だけ出していると言っていました。

――主役のヤーノシュを演じたラース・ルドルフにはどのような演出を行ったのでしょうか? あなたのこれまでの作品には、演技経験の少ない人も登場しています。

 「ヴェルクマイスター・ハーモニー」には大女優のハンナ・シグラも出演していますが、プロも素人も全く同等に接します。私の映画に大事なのは演技力ではなく、パーソナリティです。彼らのパーソナリティを捉えるのが私のゴールですから、一人の人間として、同じようにその触れ合うのです。

――本作は長回しでわずか37カットで撮られています。今作、また他の作品でもロングショットを多用するその意図について教えてください。

 我々の人生というものは、時空、時とその空間の中で起きています。しかし、多くの映画はそのことを無視している。割と単純なストーリーテリングしかしていなかったり、しかも系列的に一直線に描かれています。私にとって、そういったストーリーテリングは醜く感じ、個人的に興味を持てないのです。

 特にこの映画のように、人生というものの全体を描きたいのであれば、時空を含めなければいけない。そうすると長回しが必要になります。そのことによって、その人の人生の中により踏み込むことができるし、そのキャラクターのパーソナリティを発見することができる。それが私が映画でやりたいことなのです。

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