「オッペンハイマー」全4フォーマット制覇レポート 迫力のIMAX®、繊細なDolby Cinema®、丸ごと贅沢な35mm、回数観るなら通常DCP版
映画.com / 2024年4月5日 12時0分
最新式の音響システムは音楽家の坂本氏が監修した影響か、BGMの抜けの素晴らしさを感じた。この作品はバックに音楽が流れるシーンも多く、ストーリーに合わせトラックが細かく当てられており、その旋律の美しさを存分に堪能できた。ゆったりとした座席で映画を楽しむ、充実の3時間だった。
●IMAX®レーザーGT:全てがパキッとエッジが立ったクリアな映像×別格の音響システム=画と音を浴びるような体験
初日3月29日(金)の初回は、迷わず「グランドシネマサンシャイン池袋」のIMAX®一択。チケットの事前売り出しタイミングに少し乗り遅れたがなんとか座席を確保。東京では唯一、監督が意図する映像を可能な限り再現している上映フォーマットということもあってか、この回のネット予約は異次元の速さ、サイトをリロードする度に、見る間に空席が埋まっていく。
前夜から続いた季節外れの豪雨、当日朝8時前のビルはひっそりとしていたが、スクリーンのあるフロアに到着すると、多くの観客がすでに入場し、早くも熱気が伝わってくる。ロビーにあるIMAX®ロゴとポスターの前には写真を撮る人の列が出来ている。
劇場スタッフが適宜、座席に向かってスマートフォンの画面に関する注意喚起を行っている。そんな混み合った場内で座席番号を探し着席。予告編に続き、いよいよ本編が開始された。
1.43:1の特徴的なアスペクト比は思った以上にスクエアで、IMAX®特有のもの。オッペンハイマーのアップでは、シネマスコープではマスクされていた頭頂部から顎の先まで余すところなく映し出される。一つの顔でもピントが来ているところとボヤケている部分があり、その陰影がオッペンハイマーの持つ複雑な感情を丸ごと、こちらにぶつけてくるかのようだ。
一方、引いたカメラが捉えたロスアラモスの雄大な遠景や、大人数で奥行きのある記者会見場面はどこまでも明るく美麗だ。星や粒子が飛び交ったり、光線の束が湾曲し震える特撮のシーンは吸い込まれるような美しさに唸る。ここには35mmフィルムにあった曖昧な表現はどこにも見られない。全てがパキッとエッジが立ったクリアな映像に仕上がっている。
また、フルサイズIMAX®で上映されている劇場のみで感じる事象として、同じセットでの撮影でも動きの少ないクローズアップや風景はフルサイズ、セリフが飛び交うカットバックのような場面になると上下に少しマスクが入るなど、2種類の画角に切り替わるのも興味深かった。これは監督自身が意図したもので、重要なシーンは高く広げたサイズで観客に見てほしい、という思いが込められているという。
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