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【インタビュー】草なぎ剛、高倉健さんに思い馳せ「碁盤斬り」で新境地

映画.com / 2024年5月16日 20時0分

 草なぎが今作の主演オファーを受けたのには、一にも二にも白石監督の存在がある。「僕は白石監督と仕事ができるのであれば、どんな作品でも良かったんです。久しぶりの時代劇だったし、白石監督も初めて時代劇を撮られるということだったので、そこに魅力を感じました」。だが、自らの役どころについて特に白石監督と意見を交わすこともなかったという。

 「役に関しては、本当に何も話していないんです。衣装合わせの段階で、部屋の隅の方に簡易的な和室や襖みたいなものが作り込まれていて、本番の照明で写真を撮るんです。そんなの、初めての経験でした。そういう世界観を作って、僕のトーンを見てくれる。その時に役が入ってきたんです。その段階から演出が始まっているんですよね。役については話をしていないけれど、そういうところから監督はヒントをくれていたんです」

■29年ぶりの共演「キョンキョンには特別な気持ちがある」

 また、草なぎにとって大きな原動力となったのは共演陣の存在に他ならない。半蔵松葉の大女将・お庚を演じた小泉今日子とは、フジテレビの連続ドラマ「まだ恋は始まらない」以来、実に29年ぶりの共演となった。

 「僕が21歳だったんじゃないかな。音楽番組やバラエティでの共演はありましたが、お芝居をするのはほぼ30年ぶり。そういう時の流れもあって緊張しましたけど、今回の共演シーンは感動的でしたね。キョンキョンは現場で褒めてくれるし、若い頃からお世話になっているので、特別な気持ちがあるんです。お姉ちゃんというか、憧れの存在。若い頃の自分を思い出させてくれたり、色々な気持ちにさせてくれるんですよね。

 今回は久しぶりに共演できて、キョンキョンに対して今までにない『好きだな』って気持ちが芽生えましたし、改めて緊張する初々しい自分を見つめることができました。ターニングポイントというか、自分の人生が新たに始まるような特別な思いになりました」

■草なぎにとっての“正義”とは?

 さらに、格之進と因縁のある武士・柴田兵庫に扮した斎藤工は、文字通り「因縁の仲」だと明かす。

 「ところどころで共演させてもらっているので、すごく意識しちゃうんです。若いのに大人っぽくて、悔しいなって感じることもあります。なんでいつもそんなにクールなんだよ……って(笑)。それが今回は敵役ってことで、絶対に負けたくないって気持ちになったりしてね。

 僕の芝居の人生におけるポイントで、工くんと共演するシーンが多かったんです。『37歳で医者になった僕 ~研修医純情物語~』や『スペシャリスト』というドラマでも一緒だったんです。今作はほとんど順撮りだったので、『今日も会えないのか』『今日も会えないのか』と思いながら泥だらけになったりして(笑)。だから、(劇中で)会えた日には、『この野郎!』と思えて、すごく集中できたんです。それは、工くんだからこそじゃないかな」

 本編を観るにつけ、「正義感」というものが千差万別であることに意識を向けざるを得なくなる。最後に、聞いてみた。「草なぎさんにとっての正義感とは?」と。

 「自分に嘘をつかないことじゃないですか。何に対しても、白黒はっきりつけることって難しいですよね。一概には言えないけれど、それでも最終的には自分の心に素直でいるということが、僕にとっての正義なのかなって思います」

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