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【第77回カンヌ国際映画祭】フランシス・フォード・コッポラの8年ぶりの新作、ヨルゴス・ランティモス「憐れみの3章」お披露目

映画.com / 2024年5月18日 13時0分

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「憐れみの3章」 (C)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 第77回カンヌ国際映画祭の開催3日目、コンペティションでもっとも期待されていた1本であるフランシス・フォード・コッポラの8年ぶりの新作、「Megalopolis」が披露され、監督とともに主演のアダム・ドライバー、ジョン・ボイト、ナタリー・エマニュエル、ローレンス・フィッシュバーン、オーブリー・プラザ、ジャンカルロ・エスポジートらキャスト陣と、ローマン・コッポラらコッポラ・ファミリーがレッドカーペットを歩いた。

 本作は「ニューローマ」と呼ばれる近未来都市を構築しようとする建築家(アダム・ドライバー)を主人公にしたSFでありながら、紀元前のローマ帝国の歴史やシーザーやクレオパトラ、トランプ前大統領までさまざまな人物に準えたキャラクターが登場する、政治的、社会的な寓話である。さらに時間をテーマにした、「マトリックス」を彷彿させる哲学的側面や、ゴッサム・シティのような退廃的街並みなど、異なる要素がてんこ盛りの2時間18分は、コッポラ監督の楽観的ヴィジョンを投入した希望を感じさせるものの、正直説得力にあふれているとは言い難く、評価は賛否に分かれた。

 構想40年の本作を、私財を注ぎ込み完成させたコッポラ監督は、記者会見でハリウッドのスタジオを痛烈に批判。「現在のスタジオは大きな負債を抱え、それを返済するために儲かる映画を作ることしか考えていない。アマゾンやアップル、マイクロソフトといった業界の新参会社は資金に困らないから、我々が馴染みのスタジオは将来、存続が難しいだろう」と評した。さらに本作に込めた思いについて、「今日、世界はネオ右翼や、ファシストの伝統が復活し、まるで第2次世界大戦のときのような恐怖を感じさせる。誰もあんな歴史を繰り返したいと思っていないにも関わらずだ。わたしのアーティストとしての願いは、映画がいま世界で起こっていることを照らし出すことにある。それが我々の役目だと思う」と語った。

 「Megalopolis」の翌日には、もう一本の話題作である、ヨルゴス・ランティモスの「憐れみの3章」が披露された。本作は3編の異なるストーリーを、エマ・ストーン、ウィレム・デフォー、ジェシー・プレモンス、マーガレット・クアリーら、ほぼ同じ俳優たちが演じるプロジェクトで、自分の人生を取り戻そうと奮闘する男、海難事故から戻った妻が別人ではないかと疑う夫、カルト宗教に入れ込むヒロインを描く。それぞれアイデンティティ、支配や帰属の意識、自由を求める気持ちなどが共通している。

 「籠の中の乙女」(2009)から数えて今回が5度目のタッグとなる脚本家エフティミス・フィリップとの共同執筆作で、社会に対するかなり悲観的なビジョンとエキセントリックな描写に彩られ、再びランティモス監督の毒が目一杯盛られた印象だ。好き嫌いを分けるタイプの作品ながら、早くもパルムドールに推す声も聞かれた。(佐藤久理子)

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