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河合優実、カンヌ帰国後初となるイベントで、学生と熱く意見交換! 底辺から抜け出そうともがく少女を演じた「あんのこと」

映画.com / 2024年5月31日 19時0分

 さらに入江監督作「AI崩壊」や、河合の出演ドラマ「不適切にもほどがある!」のファンだという学生は、「この映画は実話をもとにしたストーリーとありましたが、これはひとりの子をモデルにしたんですか? それとも複数のモデルがいるんですか?」と質問。入江監督は、「結論から言うと、ひとりの人ですね。僕らは(本作のモデルになった)記事を書かれた記者さんに話を聞いて脚本をつくりました」と答える。

 続けて河合も、「あるひとつの新聞記事の、特定の女性からつくってはいるんですけど、そういう要素やエピソードは脚本の段階で肉付けされていますし、そういう意味では同じ状況にある人たちの集合体でもあります。そして撮影を進めていくなかで、『実在した方がいる』というのが自分にとってはとても大きなことで。その方に敬意を払うこと、近づくことを最初はやっていたんですが、撮影をしていくなかで、香川杏というキャラクターをつくっていくということが重要だなという方向性に、監督を含めて、現場ではそうなったという感じですね」と述懐した。

 最後に感想を述べた学生は、「全体的に主人公は被害者というか、ずっと傷つけられる側だったにもかかわらず、最後まで人を傷つけることがなかったなというのが印象的でした」と語り、クライマックスに展開されるエピソードに言及しながら、「どのようにしてそのシーンをつくろうと思ったのでしょうか?」と質問。「これもものすごく難しいですね」と明かした入江監督は、「これはすごく乱暴な議論になるかもしれないですが、相手を傷つけることは否定できないと思うんです。今のお話でいうと、(本編の中盤あたりで)母のもとから逃げるということは母を傷つけることになるけど、杏の生命や健康のためには必要だったのではないかと思います。そういう意味でいうと、杏というのは真面目な子だったのかなと。真面目であるがゆえに、いろんな責任を押しつけられて、それによってどんどん押しつぶされるような側面があったのではないかと思っています」と回答する。

 そして河合も「今、お話しいただいたことがとてもすてきだなと思って。杏が人を傷つける側に回らなかったということは、入江監督ともお話ししました。実際に自分が受けてきた暴力が、家庭内で連鎖していくという傾向はあると思うんです」と切り出し、クライマックスでの杏の選択に言及しながら、「それは本当に映画として希望があるなと思っていて。わたしは良かったなと思っていたので。感想をいただけてうれしかったです」と呼びかけた。

 そんなやりとりを踏まえて、登壇陣がその学生に「どうやったら杏ちゃんは救われる?」と質問を投げかけるひと幕も。学生は、「あの状況では何が正しいのか。本当に難しいですね……」といい、「それでも最後の砦というか、福祉というか、国の制度というか、もう少しハードルを下げて、話ができるような場所があったら、少しは救われる人もいるんじゃないかと思いました」と、考えを述べた。

 イベントの最後に入江監督は、学生たちに向け、「本当に感謝しています。もうすぐ公開となりますが、映画を見て素直に感じたことを、現実の社会でも、近い人とか、家族とか、友だちなどと話すことは有意義だと思うので。ぜひ感じたことを周りに伝えて話し合ってもらえたら、映画をつくって良かったなと思います」と、メッセージを伝えた。

 「あんのこと」は、6月7日から東京の新宿武蔵野館、丸の内TOEI、池袋シネマ・ロサほか全国公開。

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