【「あんのこと」評論】絶望的な物語の中に記された微かな希望の在処
映画.com / 2024年6月9日 8時0分
例えば、社会全体でセーフティネットを整備してゆくこと、社会でセカンドチャンスという機会を求めてゆくこと、報道のあり方に対する均衡を模索すること、教育や労働の機会を均等にすること。社会における相互理解と共助を含めて、わたしたちがやれることは多岐にわたる。「あんのこと」の終幕では別の“うしろ姿”が映し出されるが、わたしたちが想像する表情が、映画のファーストショットとは異なるものであることが重要なのだ。新聞に記された小さな記事を、映画にしなければならないとの義憤にかられたという入江悠監督。思い返せば、「ビジランテ」(2017)や「ギャングース」(2018)、或いは出世作「SRサイタマノラッパー」(2009)においても、社会の底辺で必死に生きようとする人々の姿を描いていたではないか。五輪選手たちに敬意を表しながら、コロナ禍における東京オリンピックの開催を告げる轟音と飛行機雲に、わたしたちは何を想うべきなのか。そこに去来する想いもまた灰色だったりするのである。
(松崎健夫)
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