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高校のシンボルマークはキノコ雲…「オッペンハイマー」で注目のマンハッタン計画のもと作られた町の歴史と現在を紐解くドキュメント「リッチランド」公開

映画.com / 2024年7月6日 8時0分

 ルスティック監督はチャウシェスク政権下のルーマニアから政治亡命者として逃れてきた両親の間に生まれた米国人1世であり、初長編作品で自分の家族の歴史を時間をかけて紐解いた。その経験から、人が痛みを呼ぶ歴史と向き合う過程を、ケアと共感をもって支えることを学び、映画作家として、人々とその過去の間を繊細に仲介する使命を感じているそうだ。

 「リッチランドで辛抱強い人間関係構築とコミュニティ・リスニングを数年かけて行う中、核兵器製造のもたらす膨大な環境的・人的コストについて語ることを避けたくありませんでした。しかし同時に、ハンフォードの職員たち――もっぱら私とは大きく異なる政治的姿勢を持っている人々――の物語も、尊厳を惜しまず聴く耳をもって表象したかった」と明かす。

 本作は「簡単な答えを与える映画ではないし、政治的立場を示すものでも、シンプルな原子力産業批判を行うものでも、原子力の専門家とのインタビューを含む作品でもありません。代わりに行うのはもっとやっかいな作業――異なる声や立場が共存できるよう忍耐の中で開いてゆく空間を作り、いくつもの絡まり合った歴史をそっとひとところに抱き入れるような映画的形式にしてゆくことです」と構成を説明し、

 「私たちが今生きている時代は、人間存在を否定するような根深い構造を持っています。そんな時代だからこそ、感情と信条の仕組みをテーマとしたこのプロジェクトには差し迫った必要性があると感じています。核推進派VS反核派という二項対立のような、簡単に消化できるような世界をスクリーン上に作り出すよりも、より居心地悪く、人との距離が近く、アンビバレントな空間に身を置きたい。その空間こそやがて、私たちが心に抱くさまざまな形を教えてくれるでしょう」と本作の狙いを語っている。

 映画はシアター・イメージフォーラムほか、全国順次公開中。

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