「インサイド・ヘッド2」ピクサー史上最高のヒット “楽しくて気づきを与える”傑作が 商業的ヒットに繋がったワケは?【ハリウッドコラムvol.355】
映画.com / 2024年7月26日 10時0分
娯楽と教育といえばつい対立する存在と考えがちだが、本作では娯楽のなかに教育的要素がきちんと内包されている。しかも、まったく説教臭くなく、子供にも容易に理解出来るようになっている。
楽しくて、気づきを与えてくれる。まさに希有な作品と言えよう。
本作が傑作であるのは間違いない。だが、良作が必ずしも、商業的なヒットに繋がるとは限らない。どうしてここまでのヒットになったのだろうか?
まずは、昨年のダブルストライキがある。長期にわたったストライキの影響で、「ミッション:インポッシブル8」をはじめとする大作が公開延期となり、2024年夏のスケジュールがガラガラになってしまった。
AP通信によると、今夏の公開本数は32本で前年と同じだが、コロナ前の40本には及んでいない。結果的に、「インサイド・ヘッド2」の競合作が少なくなり、スクリーンを独占する形になったのだ。
もうひとつ重要なのは、シアトリカルウィンドウの確保だ。パンデミックで映画館が長期休業を余儀なくされたことで、2020年の「2分の1の魔法」の劇場公開は途中で打ち切られた。その後のピクサー作品3本(「ソウルフル・ワールド」「あの夏のルカ」「私ときどきレッサーパンダ」)はすべてストリーミングサービスのディズニープラスで直接配信された。
2022年の「バズ・ライトイヤー」をきっかけに、ディズニーはピクサー作品の劇場公開を再開させたものの、世界総興収は2億2600万ドルと撃沈。作品の評価が芳しくなかったことに加えて、コロナ禍に高品質のアニメ映画を家庭視聴することに慣れてしまったことが一因としてあげられていた。
そして、2023年公開の「マイ・エレメント」は、世界総興収が5億ドル近くまで回復。45日間のシアトリカルウィンドウを設けたことが、観客を映画館に向かわせることに一定の効果があったようだ。
「インサイド・ヘッド2」において、ディズニーはシアトリカルウィンドウを100日間に拡大するといっている。つまり、劇場で独占公開される期間を伸ばすにしたがって、観客が戻ってきているのだ。
会心の作品に、ライバル不足とシアトリカルウィンドウの確保があいまって、通算28作目となる「インサイド・ヘッド2」はピクサー史上ナンバーワンのヒットとなった。
次作はオリジナル作品の「エリオ(原題)」。新たな黄金時代のはじまりを期待したい。
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