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「箱男」企画頓挫の悲劇から27年、沈黙の期間に何があった? 当時の貴重写真&映画化までの軌跡が初公開

映画.com / 2024年8月5日 11時0分

「箱男」企画頓挫の悲劇から27年、沈黙の期間に何があった? 当時の貴重写真&映画化までの軌跡が初公開

(C)2024 The Box Man Film Partners

 安部公房氏の小説を石井岳龍監督の手によって映像化した映画「箱男」が、8月23日から全国公開を迎える。同作は、1997年に製作が決定したものの、クランクイン前日に“撮影が突如頓挫”し、幻の企画となっていた。沈黙の27年の間に一体何が起こっていたのか?このほど、8月5日=「ハコの日」に当時の超貴重写真とともにその軌跡が明らかとなった。

 鬼才・石井岳龍(当時:石井聰亙)監督のもと、主演に永瀬正敏、助演に佐藤浩市らを迎えて日独合作映画として製作が決まっていた「箱男」。1997年、ドイツ・ハンブルクでのクランクイン前日に、日本側の製作資金の問題で突如撮影が中止となり、幻の企画となってしまう。

 当時30歳だった永瀬は、自宅や宿泊先でも箱に入って生活するほど役に入れ込んでおり、予想もしなかった幕切れに理解と気持ちが追いつかず、俳優業復帰に数カ月を要してしまったという。その思いは当然石井監督も同じで「私も2年くらい立ち直れなかった。でもその間もずっと諦めていなかった」と映画化への熱意を変わらずに持ち続けていた

 しかし、2度目のチャンスはそう簡単には巡ってはこなかった。2003年ごろに石井監督が原作の映画化を再度交渉したところ、既にその権利はハリウッドの会社へと渡ってしまっていた。なんと「エイリアン」「グラディエーター」シリーズなどで知られる巨匠リドリー・スコットの製作会社が、40分のパイロットフィルムまで完成させていたというが実現せず。その後もフランスでの企画開発の噂もあったが、結局映画化には至らず仕舞い。ついには世界のマーケットで「安部公房原作の映像化は不可能だ」と囁かれるようになる。

 そんな困難な状況下の中、原作権がハリウッドから戻ってくる機会を待っていた石井監督は、2013年ごろにコギトワークスの関友彦プロデューサーに相談を持ちかけ、今回共同で脚本を担当したいながききよたかと企画開発を重ねることに。2016年3月、ついに改めて正式な原作権の許諾を得ることになった。

 「安部公房生誕100年」にあたる2024年の公開というまたとないタイミングに照準を合わせ、これをラストチャンスとして声をかけたのはもちろん永瀬正敏。また、同じく27年前に苦い思いを共有した佐藤浩市にも依頼。佐藤が、以前永瀬と共演した「64 ロクヨン」の舞台挨拶で「本当はこの映画ではなく昔共演をするはずだった」という発言をしていたことから、永瀬と同じように心のどこかにずっと「箱男」が残っていたのではないかという思いに賭けたのだ。

 さらに、永瀬、佐藤とともに石井組に多く参加してきた浅野忠信にもオファーをし、それぞれが快諾。奇跡的に3人のスケジュールも合致し、ようやく本作の製作が現実のものとなった。こうした紆余曲折を経て完成した映画「箱男」は、因縁の地・ドイツのベルリン国際映画祭にてワールドプレミアを迎え、いよいよ今夏日本で公開されることになったのだ。

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