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重病の父の誕生日パーティーで揺れる娘の心、家という小宇宙「夏の終わりに願うこと」監督インタビュー

映画.com / 2024年8月10日 9時0分

――家族の中でも、言葉の使い方や言語が違うように表現されています。例えば、子どもたちにバレないための大人だけの記号的な言葉や、霊的なもの、非言語的なもの、動物や、AIとの対話などなど。言語がとてもお好きだということが伝わってきました。

 おっしゃる通り、私は言語というものがとても好きなんです。世界中で何百万もの言語がいろんな形であって、それぞれを違うものとして、その多様性を受け入れることが、自分だけじゃなく、周りの人たちも豊かにすると考えています。大体、いろんな問題は、話すことによって解決することが多いじゃないですか。だから、忙しくても、日々互いにそれを意識しながら使っていくことが大事かなと。昔は言葉遊びをよくやっていたはずなのに、だんだんそのことを忘れてしまう。でも、言葉で遊ぶことで、新たな発見があると思います。

――主人公ソルを演じたナイマ・センティエスは、演技未経験者だそうですが、どうやって見つけたのでしょうか。

 前回、「The Chambermaid」のキャスティングで、主演の女性と二人で、40人くらいオーディションをしたときに出会ったんです。お母さん役をした俳優の遠い親戚の子で、もちろんそれまでは芝居なんてしたことがない素人でした。一番気になってはいたので、それからナイマとは何度も会って話して、一番初めに感じた彼女の感受性をすごく好きだなと感じ、お願いすることにしました。少し、大人っぽさがあって、すごく忍耐強く、何にでも好奇心があり、楽しむことができる子だと思います。

――ナイマ以外にもノンプロの俳優とプロの俳優を混ぜているそうですが、そうすることの効果とは?

プロとノンプロと一緒に仕事をする方が、自分は居心地がいいんです。なぜかというと、プロの俳優の演技は素晴らしいけれど、ときどきエゴが顔を出すことがあるんですね。両方いることで、プロが素人に教えるだけじゃなく、素人がプロに教えることもある。そのバランスがいいなと。

――演技をしたことがない俳優に演出する際の秘訣があれば教えてください。

これはプロの俳優さんにも言えることですが、まず、信頼すること。私はキャスティングのときからそれを感じるようにしています。いくらいい俳優であったとしても、こちらとの関係を作る上で、柵というか障害を作られてしまったらうまくいかないと思うので、自分は常に心を開いて受け入れる、というかたちで見ています。そこになかなか入ってこない人もいますし、入るのが怖い人もいますが、その時点でわかるんですよね。

――スペイン語の「Tótem」は、家族や親族集団が神秘的、象徴的な関係で結び付けられている自然界の事物を指しますが、原題でもあるこの言葉が本編にすごくピッタリだなと感じました。

 私はタイトルがないと脚本が書けない人なのですが、自分が娘を肩車して撮った写真を見ているときにまず浮かびました。頭の中に物語はありましたが、それをどういうふうに出していくかというと、タイトルの名の下に解き放つんですね。「Tótem」という一つの言葉に、たくさんの意味があるのが美しいなと思っています。本作で50以上の映画祭に行きましたが、どの会場でも上映後に観た人たちが近づいてきて、彼らにとっての「Tótem」とは何かを話してくれました。もちろん、各国で思い浮かべる「Tótem」像は異なると思いますが、家族と自然という総称としてエンブレムみたいなものだという認識は、世界中の共通項としてあるんだなと。

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