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【佐々木俊尚コラム:ドキュメンタリーの時代】「オキナワより愛を込めて」

映画.com / 2024年8月23日 13時0分

 本作の予告編を見ていただければ、その一端に触れることができる。処女作の「熱き日々 in オキナワ」の表紙を眺めながら、石川さんは語る。

 「『そこには愛があった』って本屋さんがつけたタイトルなんだけど、ほんとにこれなんだよ。ラブ、愛」

「外人バーで働いてる女イコール売春婦っていう一方的な見方が強かったんだよ。どこで働いてもいいんだ、誰を愛してもいいんだ。この人たちは素晴らしいよ。すごく素敵だよ」

「わたしが最も大事にしてる写真。もっとも自慢している写真。だれにも何にも文句は言わせない」

 石川さんが撮った女たちは、一般的な美意識で言えば決して「美しい」という部類ではない。しかし東松照明が石川さんの写真を「ミイラ取りがミイラになる直前の危うさのなかで見た人生の裸形」と評したように、みずからの生命力を剥き出しにし、振り抜けたように生きる彼女たちの姿には強い力がある。その強い力が、石川さんの語りによって21世紀の現代に甦り、半世紀を経てわれわれのこころにストレートに突き刺さってくるようだ。

 1970年代に撮影された写真の数々と、石川真生さんの圧倒的な語り口。このふたつだけで、本作には観る価値がある。ぜひともそのプリミティブな生に触れてほしいと思う。

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■「オキナワより愛を込めて」

2023年/日本
監督:砂入博史
8月24日より沖縄・桜坂劇場にて先行上映、8月31日より東京・シアター・イメージフォーラムほか全国公開

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