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【特別対談】山田尚子×新海誠が語り合う、創作論から監督ならではの悩みまで――

映画.com / 2024年8月30日 12時0分

【特別対談】山田尚子×新海誠が語り合う、創作論から監督ならではの悩みまで――

 「けいおん!」「映画 聲の形」「リズと青い鳥」「平家物語」等で知られる山田尚子監督が、オリジナル劇場アニメーション映画を創り上げた。人が色で見えるトツ子と才色兼備のきみ、音楽好きのルイの3人がバンドを組む「きみの色」(8月30日公開)だ。公開に先立ち、「君の名は。」「天気の子」「すずめの戸締まり」の新海誠監督との特別対談が実現。独自の“色”を持つふたりが、創作論から監督ならではの悩みに至るまで、とことん語り合った。(取材・文/SYO、編集/大塚史貴)

――「きみの色」の製作報告会で、新海監督が山田監督に対して「嫉妬を感じる才能」と仰っていたと伺いました。

 新海:僕が最初に山田さんの作品に触れたのは「けいおん!」でした。社会的に大ヒットした作品ですが、アニメーションそのものの新しさや面白さ、楽しさ、可愛さすべてが当時衝撃で「キャリアや世代がかけ離れているような、自分から遠い人が作っているといいな」と思っていたんです。自分と全く違う属性の人が作っているなら耐えられるかもしれないけど、才能自体にはものすごく嫉妬しちゃうと思ったのが最初の印象でした。

 山田:私にとっての新海さんはなかなか越えられない壁で、どこまで行っても逃れられない方です。何か作品を作るときに「どういった世界観やルックにしていこう」とスタッフさんと話し合いますよね。その際に「綺麗な空が描きたい」「レンズを意識した画を作りたい」と言ったとき、ぱっと皆さんが想像するのは新海誠の空やレンズ感なんです。そもそも皆さんの仕事机に新海さんの画集が置いてあるので「義務教育なのか!?」って(笑)。それを開かせないところから私の仕事が始まります(笑)。

 新海:プライベートで最初に山田さんにお会いした際に、その話を伺って驚きました。僕はアニメ業界出身ではないため同業者の仲間といえる人はほとんどいませんが、アニメ業界のど真ん中でやってきた人たちが、そんな風にちょっとでも思っていただけているのであれば幸せだなと思いました。僕はとしてはむしろ、山田さんたちの作品を真似している気持ちの方が強いです。たとえばキャラクターが喋っているときに顔じゃなくて足を映すような演出を見て「そこでしか表現できない情感があるんだ」と教えていただき、臆面もなく自分の作品で真似したりしました。

――いまのお話は山田監督がおっしゃっていた「キャラクターが撮られたくないときにわざわざ正面に回って映さない」という意識に通じるのではないでしょうか。「キャラクターとその世界を愛する」ことを大切にされているとお話しされていましたね。

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