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「わたしが寝る男は、わたしが選ぶ。生きかたも自分で決める」写真家・石川真生さんの熱い魂を映した「オキナワより愛を込めて」【二村ヒトシコラム】

映画.com / 2024年8月30日 19時0分

「わたしが寝る男は、わたしが選ぶ。生きかたも自分で決める」写真家・石川真生さんの熱い魂を映した「オキナワより愛を込めて」【二村ヒトシコラム】

early elephant film + 3E Ider (C) 2023

 作家でAV監督の二村ヒトシさんが、恋愛、セックスを描く映画を読み解くコラムです。今回は沖縄を拠点として活動する写真家・石川真生さんを追ったドキュメンタリー「オキナワより愛を込めて」。

 米軍統治下の沖縄に生まれ、返還後の1975年からコザ・照屋の黒人向けのバーで働き始めた石川さんは、そこで働く女性たちや、黒人たちとともに時間を過ごしながら、日記をつけるように写真を撮り続けました。作品の背景となった歴史、政治、人種差別、それらを乗り越えるパワーを持った石川さんの熱い魂と愛を映した本作に、二村さんが迫ります。

※今回のコラムは本作のネタバレとなる記述があります。

▼熱い魂をずっと継続させている石川真生さんのかっこいい映画

 かっこいい映画を観ました。映画.com 編集部のMさんから「かっこいい映画が公開されるので観てください」と連絡が入ったので、観てみたらマジでかっこよかったっす。

 これは、おばぁが撮った沖縄の文化や自然の写真を美しく並べた観光映画じゃないのはもちろんなんだけど、基地問題の政治ドキュメンタリーでもないんです。主役・石川真生さんの反権力っぷりは、インテリ左翼の理屈じゃない。生きてきたパッションの年季が違う。かつて(50年以上前!)一人のギャル写真家が、黒人米兵たちと恋愛やセックスをしていた自分自身や米軍基地周辺の特飲街の仲間の女たちを撮り、そしてそのころの熱い魂を今もずっと継続させている、そういう映画です。

 真生さんは映画の中でご自分でも語ってるけど、言葉の人じゃない。彼女のウチナーグチは、僕が使ってるヤマトの標準語や、立派な政治家や将校のご立派な英語とは違って、そしてアメリカの田舎から連れてこられヴェトナムで殺人に加担させられた一兵卒たちのブロークン・イングリッシュに似て、もっともらしい理屈に向いてない。

 真生さんは口で理屈を言わない代わりに写真を撮る。ギャルにしか撮れない当時のギャルの日常写真を撮った。プリクラやスマホのフィルターやインスタグラムがない時代、驚くべきことにモノクロのフィルムでも、かっこいいギャル写真は撮れたんだ。

▼かっこいいギャルはギャル自身が思う「かっこいい男」が好き

 ギャルとは何か。いまの最新のファッションである必要はない。いつの時代でも肌の露出が多くて派手な化粧をし、ときには裸みたいな格好になり、でもその強い化粧やエロいファッションが、くだらない男に媚びを売るためのものじゃなければギャルだ。ギャルは不良だ。いばっているチンケな男を寄せつけないためにギラついてデコッた姿になる。

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