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アラン・ドロン死去 華やかな女性遍歴、孤独を引きずったミステリアスな魅力 フランス映画の一時代を築いたスターを大統領、友人が追悼【パリ発コラム】

映画.com / 2024年9月1日 20時0分

 フランスでは同時期にデビューしたジャン=ポール・ベルモンドとよく比較され、庶民的なベルモンドの方が愛された印象があるものの、作品選びやキャリア・コントロールという点では、断然ドロンに軍配があがった。ふたりは性格も対照的で、何度もテイクを繰り返すメルビルの完璧主義に、やんちゃなベルモンドは耐えきれず衝突したが、ドロンは反対にメルビルに可愛いがられた。メルビルが急逝したときは、未亡人に宛てて数年間小切手を送り続けたという逸話もある。人気が出てからは、自身で企画、制作にも乗り出し、「パリの灯は遠く」(1976)のような問題作も手がけた。「勝手にしやがれ」でベルモンドをスターにしたジャン=リュック・ゴダールは、後年、「ヌーヴェルヴァーグ」(1990)でドロンを起用し、その影のある魅力を引き立たせた。

 2019年にカンヌ国際映画祭で名誉パルムドールを受賞し、そのときのスピーチでは目に涙を浮かべ、「わたしがスターだとしたら、それはひとえに観客のみなさんのお陰です。わたしはまだ生きていますが、今夜の賞は死者を讃えるオマージュのようです」と、遺言のような言葉を残したのが印象に残っている。

 華やかな女性遍歴を残しながらも、どこかつねに孤独を引きずったミステリアスな魅力は、まさしくフランス映画の一時代を築きあげたと言える。(佐藤久理子)

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