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三谷幸喜監督作「スオミの話をしよう」から考える“最高傑作”とは?【コラム/細野真宏の試写室日記】

映画.com / 2024年9月14日 14時0分

三谷幸喜監督作「スオミの話をしよう」から考える“最高傑作”とは?【コラム/細野真宏の試写室日記】

(C)2024「スオミの話をしよう」製作委員会

 映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。

 また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。

 更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)

 今週末9月13日(金)から三谷幸喜監督作の「スオミの話をしよう」が公開されました。

 かつては「日本ではコメディ映画はヒットしない」というのが定説でしたが、そんな常識を打ち破ったのが、まさに三谷幸喜監督作品でした。

 2006年の年明けに公開された「THE 有頂天ホテル」が興行収入60.8億円と“60億円超え”の大ヒットを記録したのです!

 この実績によって映画業界では三谷幸喜監督作品の評価が大幅にアップしました。

 その結果、制作費も上がり、次の作品「ザ・マジックアワー」(2008年)では豪華なセットが作られたりしています。

 「スオミの話をしよう」でも、大きな舞台となる大富豪の家が精巧なセットとして作られているのです。

 加えて、三谷幸喜監督作品の大きな特徴に「長回しのシーン」が多い、というのがあります。

 この「長回しのシーン」は、文字通り「カメラを長めに回す場面」のため、最後にミスをすると「最初から、すべて撮り直し」といった事態が起こります。

 つまり、長ければ長いほど、入念なリハーサルをこなす必要性が増すのです。

 ただ、この長回しによって映像が途切れないようになると、時間軸がハッキリするなど、一切ごまかしのきかない緊張感が生まれます。

 三谷幸喜監督は「すべてのシーンを1カットで撮りたい」といった理想があるのです。

 この「すべてのシーンを1カットで撮る」というのは壮大な実験的な構想で、有名なのは第87回アカデミー賞で作品賞に輝いた「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2015年)でしょう。

 鬼才アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督によって、まるで「すべてのシーンを1カットで撮っている」かの如く見えるように作られ、作品自体も面白い画期的な内容でした。

 アカデミー賞では、「作品賞」に加えて、「監督賞」「脚本賞」「撮影賞」を受賞したのは「当然」と思えるほどでした。

 ちなみに、三谷幸喜監督はテレビドラマで、この「すべてのシーンを1カットで撮る」を実現させています。WOWOWの特別番組として、「short cut」「大空港2013」の2作品を作っています。

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