1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

カップルでの鑑賞は要注意!? とりかえしがつかないことになってしまった夫婦の映画「チャイコフスキーの妻」「画家ボナール ピエールとマルト」【二村ヒトシコラム】

映画.com / 2024年9月15日 20時0分

カップルでの鑑賞は要注意!? とりかえしがつかないことになってしまった夫婦の映画「チャイコフスキーの妻」「画家ボナール ピエールとマルト」【二村ヒトシコラム】

「ナミビアの砂漠」 (C)2024「ナミビアの砂漠」製作委員会

 作家でAV監督の二村ヒトシさんが、恋愛、セックスを描く映画を読み解くコラムです。今回はロシアの天才作曲家チャイコフスキーと彼を盲目的に愛した妻アントニーナの残酷な愛の行方をつづった伝記映画「チャイコフスキーの妻」(公開中)と、フランス人画家ピエール・ボナールとその妻マルトの知られざる半生を描いた「画家ボナール ピエールとマルト」(9月20日公開)を中心に、それぞれの結婚生活の困難の理由を二村さんが考察します。

※今回のコラムは本作のネタバレとなる記述があります。

▼開けないようにしていた蓋が外れてしまうかもしれない映画

 若い男女の恋人たちが二人で映画でも観ようかということになったとき、たとえば有村架純と菅田将暉が出てるし若者向けの恋愛映画っぽい感じだからという理由でストーリーをよく知らずに「花束みたいな恋をした」をチョイスして鑑賞後に気まずい感じになるという現象が起こりえますね。

 二人で映画を観て気まずくなるということは、つまり「映画の中の二人はああいうことだったけれども、さて、我々二人はどうか?」という、その映画を観なければ考えないで済んだ、もしかしたら今後ずっと蓋をしておけたかもしれなかったことの蓋が取れてしまうということでしょう。しかし気まずい青春恋愛映画を若い恋人たちが観て気まずい感じになったなら、さっさと別れるとか映画を参考にして今後のために話しあうとか、いろいろやりようはあります。いくらでも人生とりかえしはつくからです。

 熟年夫婦でおしゃれなヨーロッパの映画でも観ようとおしゃれな映画館に出かけて、そこで上映してたのが「チャイコフスキーの妻」だったり「画家ボナール ピエールとマルト」だったりしたら大変なことになります。これは二本とも、とりかえしがつかないことになってしまった男女の長い時間を描いた映画だからです。こんな映画を観たら、もしかしたら長い長いあいだ開けないようにしていた蓋が、いまさら開いてしまうかもしれません。

▼売れている画家とも売れていない画家ともつきあうのは大変

 画家の映画といえば、結婚生活は後半からだけど北野武監督「アキレスと亀」(2008)という傑作もありました。たけし映画は笑える暴力殺人映画ばかりが話題になりますが、こういう笑えない喜劇もすばらしいです(最新作「首」以外たけし映画って諸般の大人の事情で配信されてないんですよね。DVDでレンタルしてください)。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください