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ライムスター宇多丸らが「憐れみの3章」の見どころを語り尽くす ランティモス監督は「意地悪な映画撮る人だけど、まじめな人」

映画.com / 2024年9月25日 13時0分

 第2章「海で失踪し帰還するも別人のようになった妻を恐れる警官」は、解釈の幅が広いと指摘。宇垣もある登場人物について「どっちが偽物なの?」と困惑したことを明かし、宇多丸は観る者を惑わせる構成に「自分がこうだと思っているアイデンティティや社会的な立ち位置を取られてしまうと、何者でもなくなってしまう」とランティモス作品にみられるテーマ性を見出した。小柳は作中に出てくる“犬が支配する島”に注目。サーチライト作品「犬ヶ島」(18)を連想したと話すと、宇垣は「ランティモス監督は“恋愛関係をエゴだよね”って思っていると、(ランティモス監督作品の)『ロブスター』を思い出しながら感じました」とそれぞれ感想を語りあった。

 第3章「卓越した宗教指導者になるべく運命付けられた特別な人物を懸命に探す女」については、ストーリーのリアリティに言及。新時代のアイコンであるハンター・シェイファーの贅沢な使い方に驚きながらも、小柳はカルト集団を軸に展開するストーリーについて「宗教の外の世界に行ってもどこにいっても地獄」という描かれ方に注目し、ランティモス監督の容赦ない世界の捉え方が投影されていると考察した。

 そのほか、第1章目でプレモンスが着せられている服や、あえて外すことを狙った選曲、クレジットの出し方、ストーンが第3章で見せるあり得ないドリフト駐車など、ランティモス監督らしいユーモアにも触れ、鑑賞後の熱量のまま思い思いに語りつくした。

 イベント終盤、宇多丸は「こんな構造の非人間的なものを含む搾取的な構造の中にいるとして、あなたもさらに弱いものを叩くというところに加担していませんか?と語り掛けるところが、一番突き付けてくるところなんです。基本的にこんな意地悪な映画撮る人だけど、やっぱりまじめな人だなって思いますよね。意外と真っ直ぐな人なんじゃないの?」とランティモス監督にラブコール。

 そして、「解釈が開かれている作品で間違いない。体感で言うと2度目がより楽しい。ちょっとした表情でも笑えてくるし、あと画角ね。なんでここから撮るの!?ってね」と本作の魅力を改めて語った。

 「憐れみの3章」は9月27日全国公開。109シネマズプレミアム新宿では、同日より日本で唯一35ミリフィルムでの上映を実施する。

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