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【「シビル・ウォー アメリカ最後の日」評論】そこにいるかのような臨場感に包まれ、情動が音を立てて揺さぶられる

映画.com / 2024年10月6日 8時0分

 一行が目の当たりにする凄まじい破壊の跡、武装集団によるリンチと虐殺には、思わず息を呑む。アメリカ人同士が殺し合う凄惨な内戦の現実だ。同時に、ジャーナリストの息遣い、スクープを狙う嗅覚、戦場取材の高揚と恐怖が描かれる中でリアルな人間性が丁寧に表現される。リーはSONYのデジタル一眼レフにライカレンズを装着し、ジェシーはNIKONのフィルムカメラFE2を使う。そうした小道具のアナログ感、劇中に挿入される写真、伏せた目の前にある植物の美しい描写、音が消失する無音描写が、戦場の狂気の中で人間性を浮かび上がらせ、凄惨な現場の中で得も言われぬ静謐を生み出す。その緩急はかつてないほどの没入感を観ている者にもたらす。

 戦場をロードムービーで描く映画は多々あるが、これほどイマーシブな映像を最初から最後まで高密度に維持する映画は珍しい。そこにいるかのような臨場感に包まれ、情動が音を立てて揺さぶられる。その余韻が静まる頃、シビル・ウォーを避けるためには何が必要か、何をするべきかが静かに問われていることに気付くのだ。

(北島純)

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