第20回チューリッヒ映画祭、アリシア・ビカンダーがゴールデン・アイ・アワード受賞 最新作「The Assessment」は近未来のディストピア描く物語
映画.com / 2024年10月11日 17時0分
(C)Samuel Leu for ZFF
「リリーのすべて」(2015)でアカデミー賞助演女優賞に輝いたアリシア・ビカンダーが、第20回チューリッヒ映画祭で、多彩なキャリアを築いている俳優に与えられる、ゴールデン・アイ・アワードを受賞し、その最新作「The Assessment」が披露された。
ビカンダーが本映画祭を訪れるのは、7年前の「姉と過ごした最後の夏」以来2度目。「ここにまた戻ってくることができてとても嬉しい。そして過去に素晴らしい俳優たちが受賞している本賞を頂けるのは夢のようです」と語った。ちなみにこの賞はこれまでジェイク・ギレンホール、クリステン・スチュワート、エディ・レッドメインらが受賞している。映画祭ディレクターのクリスチャン・ジュンゲンは、「素晴らしい演技力とともに、『トゥームレイダー ファースト・ミッション』のようなメジャーの作品からインディペンデントまで幅広く活躍し、つねに勇気ある、知的な選択をしている」とそのキャリアを称えた。
ミュージック・ビデオ畑で活躍してきたフルール・フォルチュンヌの初長編監督作である「The Assessment」は、ビカンダーのヒット作「エクス・マキナ」を彷彿させるような近未来のディストピアを描く。子どもを望むカップル(エリザベス・オルセン、ヒメーシュ・パテル)は、「両親適正試験」に合格しなければならず、厳格で予測不能な彼らの調査員に扮するのがビカンダーだ。ときに赤ん坊のような反応をしてカップルの忍耐力を試す、容赦ないテストの過程と、ディストピアの風景に圧倒させられる。
授賞式前にティーチインを開催した彼女は本作について、「スリラーの要素があり、シナリオを読みながら、ページをめくる手が止められなかった。こういう脚本は珍しい。それにだんだんとこのキャラクターの複雑な要素が見えてくるところにも惹かれました」と語った。
さらに自身のキャリアを振りかえり、「はじめての国際的な作品で、マッツ・ミケルセンと「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」(2012)を演じることができたのは恵まれていました。また最初の出演作の「ピュア 純潔」(2010)がジョー・ライト監督の目に止まり、「アンナ・カレーニナ」(2012)に出演することになったのも、とてもラッキーだった。「リリーのすべて」でアカデミー賞をもらったときはまだ若かったので、びっくりしました。あの作品が、わたしのキャリアに大きな転機をもたらしたのはたしかです。でも個人的にはヒットするしないに拘らず、思い出に残るものはあります。たとえば「アースクエイクバード」(2019)はあまり当たらなかったけれど(笑)、個人的には日本に4~5カ月滞在できたのは素晴らしい経験でした。日本語を学んで、ツーリストとしてではなく、小さな町を訪れて地元の人と接することができたのはとても楽しかったです」と語った。
「光をくれた人」(2016)で共演した夫、マイケル・ファスベンダーとのあいだにふたりの子供を持つ彼女だが、仕事とプライベートのバランスについて尋ねられると、「この仕事が大好きだし、わたしにとってはどちらも必要なもの。じつは「The Assessment」の撮影中にふたり目を妊娠していたのですが、撮影をしながら、こうして両立できることはなんて恵まれているのだろう、と感じていました」
今後は「イルマ・ヴェップ」でタッグを組んだオリビエ・アサイヤス監督と再び組む新作や、ファスベンダーと共演する、「チェイサー」のナ・ホンジン監督の新作「Hope」、新鋭レイチェル・ローズ監督による「The Last Day」などが控え、ますます多彩な活躍を見せてくれるに違いない。(佐藤久理子)
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