特集上映「追悼 アラン・ドロン」開催 「サムライ」「仁義」など5作品、“不可能なるスター”の魅力と秘密に迫る
映画.com / 2024年10月15日 17時0分
「パリの灯は遠く」 (C)1976 STUDIOCANAL - Titanus Distribution
8月18日に88歳で逝去したフランスの名優、アラン・ドロンの特集上映「追悼 アラン・ドロン」が、11月に東京日仏学院 エスパス・イマージュで開催される。
60年代から現在に至るまで、日本でもっとも有名なフランス人俳優であり続けたドロン。しかし、これまで彼の作品がまとめて特集される機会はさほど多くなく、その美貌やメディアが作りだしてきた華々しいイメージ、あるいはスキャンダラスな噂や事件が取りざたされ、ドロンが映画史においていかに特別な存在であるか、ドロンなしには成立しなかった作品について、また彼なしには映画の歴史も異なるものとなっていたとさえ言える重要な存在であることは、長らく認識されていなかったと言える。
この世のものとは思えない美しさを放ちながら、その背後にはつねに死の香り、悲劇、暴力といった負の要素が見え隠れし、観る者を魅了するとともに不安を抱かせるのがドロンの魅力であり、美と暴力、欲望と恐怖、親密さと距離、あるいは男性性と女性性、そうした相反するもの間の緊張関係の上でドロンの神話は築かれていった。
本特集では、両義的な側面を持つアンチヒーローとしてのアラン・ドロン、唯一無二の存在でありながらつねに二重性を担ってきた「不可能なるスター」の魅力、その秘密に迫る。現在確定している上映作品は、フレンチ・ノワールの巨匠ジャン=ピエール・メルビル監督が手がけ、ドロン演じる一匹狼の殺し屋のスタイルが映画史にのこるアイコンとなった「サムライ」、同じくメルヴィル監督によるダンディズムあふれる名作「仁義」、一度は死刑宣告も受けた自身の犯罪歴と体験をもとに映画を作りつづけたジョゼ・ジョヴァンニ監督の異色ノワール「ル・ジタン」、刑事役のドロン×凶悪犯演じるジャン=ルイ・トランティニャンという名優が激突する犯罪映画「フリック・ストーリー」、そして、ドロン自身が出演作の中で最も気に入っているという、ナチス占領下のパリを舞台に運命に翻弄される男を描いた「パリの灯は遠く」。
また、パリのシネマテーク・フランセーズ、日本文化会館で知られざる日本映画を積極的に紹介し、「カイエ・デュ・シネマ」で批評活動も行うクレモン・ロジェ氏が、ドロンの映画史的重要性について語る講演会も開催予定だ。
「追悼 アラン・ドロン」は、11月1日(金)、11月2日(土)、11月7日(木)、11月8日(金)、11月10日(日)、東京日仏学院 エスパス・イマージュにて開催。
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