【第37回東京国際映画祭】「あんのこと」は「自分のフィルモグラフィーの中で特別な一作になるだろうと感じていた」 日本外国特派員協会で入江悠監督が会見
映画.com / 2024年10月16日 14時30分
「あんのこと」で何を観客に感じてほしいかと質問され、「自分が彼女に近づきたかったというのがあるので、観客にどう感じてほしいという意識はあまりありませんでした。社会の閉塞感が漂ってきて、圧迫されるのが怖くて、かなり撮影当時は苦しかったというのが率直な気持ちです。東日本大震災、コロナ禍と大体10年ごとに社会が息苦しくなるようなことが起こってきていると思います。これからも同じようなことは起こると思うし、また10年後にそんなことが起こった時に、10年後のあんみたいな人が一人でも少なくなってくれたらいいなと撮影時には思いました」と思いを述べた。
そのほか、会場からの質疑応答が行われ、釜山映画祭で話題となったストリーミング作品の台頭に関して、東京国際映画祭でも何か影響などを感じるか? との質問に、市山プログラミング・ディレクターは「オープニングをはじめ釜山映画祭では、配信映画がかなり目立っていた。韓国では若い人たちが配信作品を沢山みる様になって映画の興行収入が減ってきているという。日本の場合は、依然として映画館に行く観客も多いので、ストリーミングが現段階では映画産業に大きな影響を与えてはいないのではないかと思う。東京国際映画祭のセレクションに関しては、日本映画はかなりバリエーションのある作品を揃えられたので、ここに関してもバランス的に大きな問題は起きていないと感じている。ただ、数年前よりTIFFシリーズにおいて配信映画を取り上げるセクションを設けてもいるが、それは配信作品においても素晴らしいものも多く、そういった作品は取り上げるべきだと考えている」と回答。
既にテレビシリーズの制作経験のある入江監督は、今年の夏に配信作品も手掛けたという。「スタッフなど作り手側としては、映画もドラマもストリーミングも変わりなくなってきている。僕らは、映画とは何なのかということをもう一度定義しなければならない時代に来ている気がする」と述べ、配信作品を手掛けることで、制作者たちが仕事を続けていく機会になっていると思うかという問いには、「そう感じます。ただ、制作者や俳優を取り巻く環境はそこまで改善されているとは思わないです」と答えた。
<第37回東京国際映画祭 開催概要>
■開催期間:2024年10月28日(月)~11月6日(水)
■会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
■公式サイト:www.tiff-jp.net
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