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堂本剛27年ぶり映画単独主演作「まる」の興行収入はどのくらい期待できる?【コラム/細野真宏の試写室日記】

映画.com / 2024年10月18日 8時0分

 ただ、「銀魂」(2017年)や「銀魂2 掟は破るためにこそある」(2018年)での存在感や演技力を見るに、役者としての注目度や力量は高いと思います。

 実際に本作は、まさに「堂本剛のための映画」と言えるくらいに「堂本剛の自然体の演技が最大級にフィットしている作品」となっています。

 それは、荻上直子監督が「主演:堂本剛」を目標に、過去のインタビューなどを徹底的にリサーチし、脚本をアテ書きして作られたからです。

 これまでの荻上直子監督作品は“何かが起きそうで何も起きない”ようなイメージがありましたが、本作では一転して、様々なことが起こっていきます。

 本作で注目したいのは、主演の堂本剛だけでなく脇を固める役者の演技の上手さもあるのです。

 これは荻上直子監督作品の特徴なのですが、キャスティングが本当に上手く、みんなが良い演技をしているのです。

 例えば、主人公の隣の部屋に住んでいる綾野剛。

 割と精神を病んでいるような特殊なキャラクターなのですが、その演技を見ると「綾野剛ってこういう人なんだな」と思い込んでしまいそうになるほどの説得力があります。

 また、「ミャンマー出身のコンビニ店員」を演じているのは森崎ウィンですが、「森崎ウィンはこうやってキャスティングすべきだよな」と思うような見事なキャスティングでした。(というのも、森崎ウィンは、実際にミャンマー出身だからです)

 他には、どんな役でも自然に上手くこなし、存在感のある柄本明が「物事の道理を把握している先生」という不思議な人物を演じていて、これも良いです。

 さらには、「かもめ食堂」から荻上直子監督作品には欠かせないような存在である小林聡美は、「あ~こんな役で」と思うような大事な役で登場しています。

 このように、「荻上直子監督×堂本剛」の化学反応によって、かつてないくらいに「荻上直子監督作品」が魅力的になっているのです。

 ちなみに、特に終盤に大きく色を添えている劇中の音楽を「.ENDRECHERI. 堂本剛」名義で堂本剛が担当していて、これも見事にハマっていました。

 さて、このように本作はポテンシャルが高い作品なのですが、興行収入はどのくらい期待できるのでしょうか?

 まずは、最近の状況を考えると、2次利用の配信を先に契約することで1億円くらいを回収できていると予想します。

 そこで、製作費をP&A費も含めて3億円弱とすると、興行収入4億円あたりがリクープラインになると想定されます。

 そのため、本作の目標は、まさに「荻上直子監督作品」の最高興行収入5.8億円を更新できるかどうかでしょうか。

 果たして「荻上直子監督×堂本剛」の化学反応がどこまで効果を発揮できるのか大いに注目したいと思います!

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