氷川竜介が語る、「宇宙戦艦ヤマト」誕生の時代背景と世界観で物語る魅力【第37回東京国際映画祭】
映画.com / 2024年11月1日 12時30分
そのほか、60年代から70年代にかけてアニメや特撮の観客が成熟していったことによる作品高度化の流れ、テレビのカラー化にともなって映像の表現力が大きく変化したことなど、さまざまな視点で「ヤマト」誕生の背景が語られた。それでも突然変異的に生まれた感のある「ヤマト」には、スタッフたちの「誰もやったことがないことをやりたい」という思いが結晶化した面があることを、氷川氏は「合力(ごうりき)」という言葉で説明した。これはスタッフの力が作品に結集しても、「こっくりさん」のように必ずしも毎回同じ方向に進むとは限らないという意味がこめられ、スタッフ間に発生した絶妙な力学と時代の流れが合致して生まれた部分が大きいのだろうとも語られた。
作品成立の秘密を解き明かしていくためには、作品の一次資料が欠かせない。氷川氏と樋口真嗣監督が副理事長、庵野監督が理事長を務める特定非営利活動法人「アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)」では、「ヤマト」の資料など多くのアニメ・特撮作品の記録と記憶を集め、次世代に継承していく組織である。氷川氏はトークの終盤にATACへの理解と支援を呼びかけながら、ATACの資料をもとに研究をしたい学生や、ATACの資料を分類・言語化する手伝いをしてくれる有志を募集していた。
11月3日には東京・丸の内ピカデリーで、「宇宙戦艦ヤマト」劇場総集編の4Kリマスターが回顧上映され、森雪役の麻上洋子が登壇する。第37回東京国際映画祭は11月6日まで開催。
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